- 国土交通大臣賞
「会津の春を感じて」 鈴木 昇
(福島県喜多方市 JR磐越西線 山都駅~喜多方駅)JR磐越西線の一ノ戸川橋梁は1908年に架けられた鉄橋で、「SLばんえつ物語」号の絶好の撮影場所として知られています。この日は天気がよく、背景の飯豊連峰には残雪がありました。残雪の山をどのように入れるか、それと列車をどう絡めるか悩んで歩き回りました。(2025年4月撮影)
講評:澄み渡る青空とぽっかり浮かぶ白い雲の下、「SLばんえつ物語」号が後方の客車まで黒煙をたなびかせて鉄橋を渡る様子を印象的に描写しています。河原、住宅、新緑、雪山をバランスよく絡めることで高さと広がり、奥行き、季節感を表現したことも高評価につながりました。(清水 哲朗)
- 環境大臣賞
「オジカ沢の尾根」 村木 文明
(群馬県みなかみ町 谷川岳 オジカ沢ノ頭)撮影当日の谷川岳は快晴。標高1,500mあたりまで紅葉が色付き、天神平は見頃でした。山頂付近で霜が降っていたのは想定外でしたが、なんだかワクワクしたのを覚えています。撮影したトマの耳山頂付近は霧がかかったり晴れたり。オジカ沢ノ頭の稜線、霜のついた山肌や上越国境の険しい山の景色は本当に美しく、タイミングに恵まれました。(2022年10月撮影)
講評:標高、方角、植生の違いによる色彩の変化を見られるのが、この時期の登山の醍醐味です。よく見ると手前にはエビの尻尾と呼ばれる霧氷が付着。悪天候が去った直後にしか見られない光景は作者渾身の一枚でしょう。時を忘れて見入ってしまいます。(清水 哲朗)
- 九州旅客鉄道株式会社社長賞
「熱心な機関士」 横尾 拓哉
(熊本県人吉市 JR鹿児島本線 SL人吉)引退が近づく「SL人吉」に乗車しました。初めて乗ったSL、耳に届く力強い汽笛とリズミカルな車輪の響きが時を超えた旅の始まりを感じさせました。普段なかなか見ることのできない光景に老若男女皆、興奮気味で、どこか忘れかけていた子供心を思い出させてくれる場面にとても心がひきつけられました。(2024年2月撮影)
講評:間近に見える“ハチロク”に興奮する子供達の声が聞こえてきそうです。おそろいの列車が描かれた服を着ているのは兄弟でしょうか。赤い服の子が一生懸命背伸びしても見えないもどかしさが想像力を余計に掻き立てます。客車内を絡めて旅情まで表現した秀逸な画面構成にも唸りました。(清水 哲朗)
- 公益社団法人日本観光振興協会会長賞
「PASSION」 長谷川 裕二
(長崎県佐世保市 YOSAKOIさせぼ祭り)YOSAKOIさせぼ祭りは毎年10月に開催され、開催中は佐世保全体で盛り上がります。この祭りの魅力は演舞チームと観客が一体となって盛り上がるところで、演者さんの一糸乱れぬ踊りとはちきれんばかりの表情は観客にもパワーを与えてくれます。毎年カメラを片手に観覧しますが、この作品は演者さん達の表情が最もよく撮れた一枚となりました。(2024年10月撮影)
講評:全身全霊すべてのパワーを込めて叫ぶ様子を俯瞰ポジションから活写。それぞれが輝いた表情を浮かべているので、見ているこちらまで勇気がみなぎってくるような錯覚を起こします。多くの人が集い、力一杯声を上げ、心の底から楽しむ姿に人間の根源を見た気がします。(清水 哲朗)
- 一席
「島の守り神」 三木 雅也
(香川県三豊市 志々島の大楠)瀬戸内海に浮かぶ周囲3.8kmほどの小さな島、志々島。その島のシンボルでもある大楠は樹齢1200年以上を経た古木で、香川の天然記念物に指定されています。志々島港でフェリーを降りてから大楠まで20分くらい歩きますが、登り坂が続くのが大変でした。(2025年4月撮影)
- 一席
「大阪万博の華」 山田 宏作
(大阪府大阪市 大阪・関西万博)会社の慰安旅行で訪れた大阪・関西万博にて撮影した作品です。この日はブルーインパルスの展示飛行があるとのことだったので、ブルーインパルスとガンダムと大屋根リングを入れた構図を当初から考えていました。イメージ通りの位置にブルーインパルスが飛んできてくれて、生涯記念に残る渾身のショットになりました。(2025年7月撮影)
- 二席
「秋の輝き」 樫山 大樹
(福島県喜多方市 JR磐越西線 喜多方駅~山都駅)秋の風景を求めて磐越西線沿いをめぐっていたところ、線路沿いのススキが目を惹きました。太陽の位置と時刻表を見比べながら、会津若松から来る「SLばんえつ物語」号を待ちます。やがて聞こえてきた警笛、風に揺れるススキ、夕方の斜光線を浴びて黄金色に輝く蒸気機関車、力強くたなびく黒煙。日本の鉄道の原風景を見ることができました。(2024年10月撮影)
- 二席
「落日」 林 博
(長崎県佐世保市 西海国立公園 長串山公園)西海国立公園長串山公園は標高234mの長串山にあり、北九十九島と平戸島を一望することができます。園内には約10万本のつつじが植えられていて、春の開花期には山の斜面が朱色に染まります。なかでも、つつじが夕日を受けた風景は絶景です。(2025年4月撮影)
- 二席
「宇宙からの来訪者」 岡本 大志
(長野県須坂市 峰の原高原)地球に最接近した紫金山・アトラス彗星が日没後のブルーアワーに静かに輝いていました。眼下には街の灯りが瞬き、キャンプ場では炎やランタンの温かな光が揺れています。地上で何気ない日常が繰り広げられている様子を遥か彼方の彗星が優しく見守る、そんな宇宙と地球とが繋がった神秘的な瞬間を大切にシャッターを切りました。(2024年10月撮影)
- 三席
「レトロな駅舎」(4枚組) 小山 乾
(福岡県北九州市 JR門司港駅)1914年に建てられた門司港駅は西洋風のネオルネサンス様式の駅舎で、1988年に鉄道の駅として初めて国の重要文化財に指定されました。10年以上前から撮影したいと思っていて、今回その思いが果たせました。お気に入りの「光」を求めて、午前、午後、夕方と3回にわたり足を運び、2泊3日の二日がかりの撮影となりました。(2024年7月撮影)
- 三席
「四万十川燃ゆる季節」 千々岩 彰
(高知県四万十町 JR予土線 土佐大正駅~土佐昭和駅)高知と愛媛を結ぶ予土線。沿線には常緑樹が多い中、四万十町大正のタイワンフウ並木は晩秋になると鮮やかに色付きます。その葉が柔らかな光で彩りを増す中、紅葉と四万十川の流れと0系新幹線をイメージした単行列車が織りなす鉄道風景が目の前に広がりました。これをきっかけに予土線に乗ってみたいと思っていただければ幸いです。(2024年12月撮影)
- 三席
「街の鼓動を運んで」 川村 侑真
(愛知県豊橋市 豊橋鉄道市内線 東田坂上停留場~東田停留場)数年前に引っ越しましたが、豊橋市は生まれ育った町で20年以上も暮らしていました。とある日、豊橋へ帰った時に市内の素敵な写真がいくつか載ったポスターが目に入りました。その中の市電の写真がとても印象的で、その景色が見たくなりました。豊橋に帰る度に場所を探し、何回目かの時に見つけた場所で撮ったのがこの1枚です。(2024年9月撮影)
- U-22賞
「電車に憧れて」 石﨑 ひかり
(東京都世田谷区 東急大井町線 二子玉川駅~溝の口駅)通学中に交通総合文化展のポスターを見て通学電車を写真におさめたくなり、電車と自然を同時に眺められる二子玉川の兵庫島公園へ行きました。家族連れが楽しそうに過ごしているのを見て幼い頃を思い出し、小石を電車のように並べてみました。私だけの“石電鉄”といつも乗っている“東急電鉄”が一緒に走っているようで可愛いなと思いました。(2025年7月撮影)
- 入選
「神戸へ行こう!」(4枚組) 野村 倫直
(兵庫県神戸市 神戸)ゴールデンウィークは家族三世代で神戸へ旅行しました。初めて乗るFDAの機内から北アルプスを眺めていると、あっという間に信州から神戸へ到着。私は旅の記録係で、娘は神戸ポートタワーの夜景、夕景に興味深々、孫は大観覧車とアクアリウム・アトアに大喜び、水族館の大きな水槽の前で寝転んで魚を眺めたりと楽しんでいました。(2025年5月撮影)
- 入選
「田原の滝と電車」 原口 孝和
(山梨県都留市 富士急行線 都留文科大学前駅~十日市場駅)滝と列車とを一緒に撮ることができる場所がないかとインターネットで探していたら、田原の滝の記事が出てきたので撮影に行きました。記事では雪とか紅葉の時期がよいと書いてありましたが、掲載されていた写真を見て新緑もよさそうだと自分なりに判断。5月末に撮影しましたが、新緑と滝と電車の組み合わせはよかったです。(2024年5月撮影)
- 入選
「明鏡止水」 石川 一介
(長野県白馬村 JR大糸線 信濃森上駅~白馬大池駅)雪が残る北アルプスの絶景に、雪解け水が張られた田んぼ。この日は風もなく、田植え前の田んぼはきれいな水鏡になっていました。その風景はまさに「明鏡止水」という言葉しか思い浮かびませんでした。この絶景を皆さんに見ていただきたい一心で撮影しました。(2024年5月撮影)
- 入選
「忘れられた蒼穹の祈り」 郭 家宇
(福岡県宗像市 宗像大社 沖津宮遙拝所)宗像大社は沖津宮、中津宮、辺津宮の三社からなっていて、中津宮がある大島には神職以外上陸できない“神宿る島”沖ノ島を拝む沖津宮遥拝所があります。私が日本で訪れた20番目の世界遺産で訪れている人は少なかったですが、「世が忘れても私はこの国を守り続ける」と語る声を感じ、蒼穹を見上げながら静かにシャッターを切りました。(2025年1月撮影)
- 入選
「春のおとずれ」 福原 良一
(熊本県阿蘇市 仙酔峡)阿蘇山の北麓にある渓谷、仙酔峡を訪れました。仙人が酔うほど美しい峡谷であることからこの名前が付いたそうで、山肌には5万本のミヤマキリシマが自生しています。撮影当日はあいにくの曇り空でしたが、しばらくすると雲の切れ間から光が差し、山肌に自生しているミヤマキリシマが美しいピンク色に染まりました。(2025年5月撮影)
- 入選
「澄音」 田村 悠也
(秋田県にかほ市 元滝伏流水)この滝は鳥海山の湧水が流れ、夏には冷たい湧水と気温との温度差で霧が立ちこめます。そこへ光が差し込むと美しい光芒が現れますが、この日は控えめな光。それでも、森と水の流れに柔らかく差し込む光は、私の心を澄み切った世界へと導いてくれました。この写真を見るたび、あの場で感じた光景とせせらぎや森の音がよみがえります。(2022年8月撮影)
- 入選
「山の恵みの花と回廊」 鈴木 恵美子
(茨城県桜川市 雨引観音 あじさい祭)雨引観音では毎年6月にあじさい祭が開催され、後半には剪定したあじさいを池に浮かべる「水中華」が行われます。剪定するのは翌年に花を咲かせやすいようにするためで、SDGsにも適った催しでもあります。自然の恵みと人の手が関わり合って、癒しを感じさせてくれる催しというのは素晴らしい文化であり、今後も長く続いてほしいものです。(2022年7月撮影)
- 入選
「一瞬の樹氷群像」 鳥居 秀行
(山形県山形市 山形蔵王 樹氷原)蔵王の樹氷は日本三大樹氷のひとつで、海外からの観光客にも人気があります。撮影当日は朝から霧がかかっていましたが、スキーを履いて蔵王樹氷原に到着。しかし、霧のため撮影どころか、何も見えない闇の世界でした。待つこと30分、一瞬太陽が顔を出し樹氷原を照らし始めました。その間2分、夢中でシャッターを切りました。(2022年2月撮影)
- 入選
「素敵な出会い」 宮川 和典
(北海道池田町 JR根室本線 池田駅~豊頃駅)北海道東部に生息する丹頂鶴は「湿原の神」と呼ばれるほどその姿は神々しく美しいです。この時は偶然、収穫を終えたトウモロコシ畑から“クルルォー”と鳴き声が聞こえました。鶴は実を探して歩き回っていましたが、特急「おおぞら」の走行音が聞こえてくると湿原の神はファインダー越しに目線を向けてくれ「素敵な出会い」が実現しました。(2023年10月撮影)
- 入選
「夕日に向かって」 野口 茂樹
(茨城県鹿嶋市 JR鹿島線 鹿島神宮駅~延方駅)鹿島線のハイライト「北浦橋梁」をEF65が牽引する貨物列車が駆け抜けます。夕日に照らされたうろこ雲、河口の橋梁を一直線に突き進む列車に感動。シャッターボタンを押す人差し指に力が入っていたのを覚えています。かのEF65もこの後まもなくして鹿島線から撤退。最期の雄姿を撮れてよかったです。(2022年11月撮影)
- 入選
「布良の夕景」 中台 健一
(千葉県館山市 布良海岸)館山の海岸線はよく撮影で訪れますが、布良海岸の特徴的な岩肌には魅力を感じているものの中々いいタイミングに出会えませんでした。この日は奥行きのある雲の形がとても印象的で、冬の澄んだ空気のおかげか夕日の色がひときわ鮮やかでした。逆光のため岩肌の力強さと冬場の鮮やかな夕日の色が合わさり、素晴らしい絶景の写真になりました。(2025年1月撮影)
- 入選
「新緑の小田川を行く」 井上 雄次
(愛媛県内子町 川澄川まつり 筏流し)小田川では江戸時代後期から昭和初期の間、山から伐り出した木を筏にして河口まで運んでいました。筏流しはその光景を復活させるイベントで、当時のように蓑と菅笠姿の筏師が筏を繰りながら川を下ります。筏は10連以上繋がってかなりの長さになるので、広角レンズで周りの新緑とともに撮影しました。(2025年4月撮影)
- 入選
「秋宵」 渡辺 和博
(栃木県宇都宮市 若竹の杜 若山農場)若山牧場は竹や栗を栽培している農場で、東京ドーム5個分の敷地に広がる手入れされた竹林は全国でもめずらしく、映画などのロケ地としても使用されています。一般にも開放されているので広大な竹林の中を歩くこともでき、冬には特別企画のライトアップが行われています。ライトアップされた竹林はきれいで、とてもいい気分でした。(2024年10月撮影)
- 入選
「ホタル舞う花園」 水野 敬雄
(富山県砺波市 頼成の森 花しょうぶ祭り)富山の県民公園「頼成の森」には北陸最大級の花しょうぶ園があり、600品種70万株の花しょうぶが咲き誇ります。満開の時期の昼はたくさんの人で賑わいますが、夜は静寂に包まれます。雲一つない空には星、地にはホタル。2つの光が交わる、幻想的な光景。空気と水が澄む美しい富山が誇るこの景色をいつまでも残していきたいと感じました。(2024年6月撮影)
- 入選
「敬礼!」 川本 和浩
(愛媛県大洲市 JR予讃線 五郎駅)沿線のおもてなしで有名な観光列車「伊予灘ものがたり」、なかでも「たぬき駅長」がもてなす五郎駅が有名です。2代目列車3周年記念ヘッドマークの列車が入ってくると、たぬきに扮した子供や沿線住人が列車に向かって「敬礼!」、乗務員さんも「敬礼!」で応えます。「ご苦労様」、「ありがとう」と心温まる言葉が聞こえる一枚になりました。(2025年4月撮影)
- 入選
「熱男」 林 巧
(長野県飯田市 七久里神社 秋季祭典宵祭り)13世紀から続く七久里神社の秋季祭典は裸祭りともいわれ、注連縄を腰にまいた青年が火の粉を浴びながら桶を頭上で振ります。初めて訪れた場所でしたが、思った以上に熱いお祭りで参加者達の頼もしい姿を撮影することができました。たくさんの人が動くとても難しい撮影でしたが、連写してやっと撮れた一枚になりました。(2023年9月撮影)