- 国土交通大臣賞
「ガブリ競演」 末廣 周三
(福岡県田川市 風治八幡宮 川渡り神幸祭)4年ぶりの開催となった川渡り神幸祭は約470年の歴史と伝統を誇る、県の無形民俗文化財です。2台の神輿と11台の山笠が伊田町内を巡行し、彦山川を渡ります。写真は山笠を前後に倒す「ガブリ」を一斉に行う川渡り競演会の1コマで、山笠が重なるようにガブる姿を彦山川にかかる番田橋から撮影しました。(2023年5月撮影)
講評:疫病終息祈願成就の御礼に奉納されたことをきっかけに470年続く、福岡県指定無形民俗文化財第1号に登録されている祭礼。川に入る若衆たちが小さく見えるほどに大きく色鮮やかな幟山笠(のぼりやまがさ)を揺すり、水を掛け合うシーンは迫力十分です。望遠レンズの圧縮効果を活かし、余分な空間を排除した緊張感ある画面構成が賑やかな祭りをより盛り立てました。(清水 哲朗/写真家)
- 環境大臣賞
「ひまわり畑の夜」 矢作 俊郎
(福島県郡山市 郡山布引風の高原)郡山布引風の高原は、発電用風車とひまわりの風景が素敵な場所です。広大なひまわり畑は見応えがあり、一日を通して色々な美しさを見せます。撮影時は風があったので、長時間露光中に花が揺れないタイミングを収めるため何回も撮影しました。何とかひまわりと夏の天の川のコラボレーションを撮れてよかったです。(2022年8月撮影)
講評:夏を代表する花の群落の上に広がる銀河と無数の星。肉眼では見えない、息を呑むほどの美しい光景にただただ圧倒されます。地表風景と星空をバランスよく表現できたのはデジタルカメラに明るい広角レンズを組み合わせ、高感度、的確な露光秒数、撮影後の仕上げまでを丁寧に行ったから。風力発電の風車も宇宙と地球を繋ぐ大切な存在に見えます。(清水 哲朗/写真家)
- 西日本旅客鉄道株式会社社長賞
「夕陽を浴びて」 那須 晴日
(福岡県北九州市 JR山陽新幹線 小倉駅~新下関駅)コロナ禍で行動が制限されていた中、太陽の位置を確認するアプリにハマりました。そのアプリで太陽を背景に新幹線の写真が撮れないかと撮影地を模索。高架線より高台、もしくは同じ高さでと考え、関門トンネル入口のこの場所を選びました。そして、狙い通りに太陽をバックに500系が登場。最高の瞬間が撮れたと思います。(2021年5月撮影)
講評:超望遠レンズで切り取った車体と映り込む夕映えが、500系の美しいフォルムをより際立たせています。画面内に夕日が入る、撮影には難しい逆光条件でしたが、完璧な露出選択と構図で見事に表現しています。胸が高鳴る格好良さにいつまでも作品を眺めていられます。作者の鉄道愛と情熱、撮影に対するひたむきさが素晴らしい結果を導きました。(清水 哲朗/写真家)
- 公益社団法人日本観光振興協会会長賞
「厳冬湖の風物」 鈴木 彦三
(福島県猪苗代町 猪苗代湖)猪苗代湖の天神浜は冬になると季節風が強くなり暴風雪となって吹き荒れ、湖氷が波に揉まれて球状の団子氷になり岸に打ち寄せられます。冬晴れの日に出かけたところ、湖岸が団子氷にビッシリと埋め尽くされており、目当ての光景を目にできました。澄み切った磐梯山とのコラボレーションは冬の会津を代表する風物です。(2020年2月撮影)
講評:猪苗代湖の冬の風物詩といえば「しぶき氷」が有名ですが、このような丸い「団子氷」が漂うこともあります。厳しい冬の季節風で立つ波によって丸くなる氷、限られた条件でないと見られない光景は一見の価値あり。そこに悪天候後を物語る澄み切った青空と飛行機雲、積雪した磐梯山を絡めることで作品がより印象的になりました。(清水 哲朗/写真家)
- 一席
「背水の陣」 長谷川 裕二
(佐賀県唐津市 呼子大綱引)国の重要無形民俗文化財に指定されている唐津市の「呼子大綱引」が4年ぶりに開催されました。写真は1日目のこども綱で、勝ちを諦め始めた子どもたちの中に決して諦めない少年の姿がありました。結局、この勝負は負けとなりましたが子どもたちは笑顔いっぱいで忘れられない思い出になったと思います。(2023年6月撮影)
- 一席
「祭りの神輿に魅せられて」 石井 良二
(神奈川県小田原市 居神神社 例大祭)小田原三大明神の一社である居神神社で、5月に例大祭が執り行われました。写真は神輿が街中を渡御する様子です。各地に設けられた接待所では豪快に神輿を左右に倒す「あおり」が行われます。その姿はとても見応えがあり、ようやく撮影できた1枚です。(2023年5月撮影)
- 二席
「ヤマタノオロチ」 児島 巧
(広島県庄原市 JR木次線 油木駅~三井野原駅)JR木次線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」。中国山地の新緑の森の中、坂道を力強く登ってくる列車を、旧国道踏切跡にて三脚を立てて安全に配慮しつつ撮影しました。しかし、奥出雲おろち号は老朽化のため本年11月で運行終了となるそうです。非常に残念ですが、その雄姿を最後の日まで撮り続けたいと思います。(2023年5月撮影)
- 二席
「バス停」(4枚組) 圡屋 恵理
(三重県菰野町 菰野町コミュニティバス 江平停留所)江平のバス停は明治時代の醤油樽を使ったバス停で、現在はコミュニティバスの停留所として利用されています。最近まで地元にこんなバス停があるとは知りませんでしたが、たまたま通りかかって気が付きました。その佇まい、小窓から見える景色、木の感触を興味深そうに楽しむ我が子。愛すべき場面だと感じました。(2022年11月撮影)
- 二席
「勇猛果敢」 伊藤 雪香
(愛知県西尾市 鳥羽神明社 鳥羽の火祭り)鳥羽神明社で行われる鳥羽の火祭りは、約1200年前に始まったとされるお祭りです。竹と茅で作った「すずみ」という高さ5mの松明を燃やし、「ネコ」と呼ばれる奉仕者が燃え上がる炎に飛び込んで神木と十二縄を競って取り出す神事です。その迫力は圧巻の一言で、勇猛果敢なネコたちに皆が拍手を送っていました。(2023年2月撮影)
- 三席
「春雨の駅」 海老沢 好男
(福島県下郷町 会津鉄道 湯野上温泉駅)会津鉄道の湯野上温泉駅は桜のきれいな所ですが、タイミングが合わず散りかけた時期に出かけました。小雨の降る非常に寒い朝で誰もいない寂しい風情でしたが、それが逆に山間の静かな風景を演出し、今までにない写真が撮れました。線路を渡る駅長さんが傘をさしていたので、より雨の雰囲気が出せたと思います。(2023年4月撮影)
- 三席
「『富士山の日』に走る」 佐藤 雅美
(静岡県富士市 JR東海道新幹線 富士川橋梁)富士山が世界文化遺産に登録されて10周年の2023年、2月23日の「富士山の日」に富士川河川敷に行きました。この日を祝うように笠雲と吊るし雲が出現。また、前日の雨で川の水量も増えていました。勢いのある水の流れと雲、そして橋梁を渡るJR東海道新幹線の全車両が入るよう広角レンズを使用し、動感を意識して撮影しました。(2023年2月撮影)
- 三席
「満月の夜」 水野 英樹
(神奈川県川崎市 浮島町公園)1月の満月は「ウルフムーン(狼月)」と呼ばれています。今年最初のドラマチックな満月に、羽田空港から飛び立つ飛行機を重ねて撮影しました。月が昇り始めてから、多くの飛行機が行き来しましたが、満月と重なる機体はごくわずかでした。寒い冬の夜風を受けながらも撮影を諦めずにゲットしたラッキーな作品です。(2023年1月撮影)
- 三席
「跳舞」 田中 裕二
(佐賀県小城市 海遊ふれあいパーク 干潟体験場)6月、小城市の干潟に立つとあちこちで「ペチペチ」という音が聞こえます。ムツゴロウのオスがメスを射止めようと、求愛のジャンプをするのです。ムツゴロウがジャンプするのをひたすら待ち、愛のために跳ねる一瞬の輝きを捉えました。絶滅危惧種のムツゴロウですが、この作品を通して少しでも関心が集まると嬉しいです。(2023年6月撮影)
- U-22賞
「水郡線の夏」 高橋 一朗
(茨城県大子町 JR水郡線 下小川駅~西金駅)この日はJR水郡線で砕石を運搬するためにDE10形ディーゼル機関車が走るという噂を聞きつけて、撮影に向かいました。ちょうど久慈川で水遊びをしているご家族がいたので、お願いして手を振る様子を撮らせていただきました。朱色の機関車と緑の多いJR水郡線沿線の風景は絵になるので、ぜひ走り続けてほしいです。(2022年8月撮影)
- 入選
「燃える夕焼け」 板橋 昇
(埼玉県長瀞町 秩父鉄道 荒川橋梁)11月になると秩父鉄道荒川橋梁の上流に夕日が沈むようになります。シルエットの写真を撮るために荒川橋梁の下流へ行きました。撮影当日は夕日が沈むと空が燃えるように赤くなりました。そこへタイミング良く上りの石灰石運搬車が電気機関車に牽引されてやって来て、最高のシャッターチャンスになりました。(2021年11月撮影)
- 入選
「いつもの散歩道」 餘野 照彦
(大分県宇佐市 宇佐神宮 勅使街道)宇佐神宮の入口の一つである呉橋へと続く西参道は、勅使街道とも呼ばれます。長く伸びた石畳風の街道は日没前になると夕陽を反射し、まさに「光る道」となります。この作品を撮影した際は、たまたま近所の散歩中の人が通りかかってくれたため、まるで1枚の絵の様に美しく見えました。(2021年5月撮影)
- 入選
「競演」 遠藤 聡
(愛媛県西条市 西条まつり 飯積神社祭礼)西条まつりは江戸時代から続く秋祭りで、伊曽乃(いその)神社、嘉母(かも)神社、石岡(いわおか)神社、飯積(いいづみ)神社という4つの神社で行われる例祭の総称です。この期間中は豪華絢爛な百数十基の太鼓台などの屋台が神社に奉納されます。写真は飯積神社の「かきくらべ」で、11台のきらびやかな太鼓台を男たちが競って持ち上げる迫力満点の場面です。(2022年10月撮影)
- 入選
「星降る眠り」 平野 裕司
(愛知県名古屋市 JR東海 名古屋車両区)コロナ禍で外出もままならない時期、近場で撮影できるところと思いついたのがJR東海の名古屋車両区でした。ここは跨線橋の上から撮影ができ、メンテナンス中の車両や転車台を見ることができます。車庫の明かりが星のように見え、手前に停まっていた飛騨高山線の車両が星空の下で静かに眠っているように見えました。(2020年5月撮影)
- 入選
「絢爛豪華」 宮川 和典
(栃木県日光市 東武鬼怒川線 大桑駅~大谷向駅)東武鬼怒川線沿線の倉ケ崎SL花畑でSL大樹の特別運行時間に合わせて花火を打ち上げるクリスマスイベントが行われ、雪が降る寒空の下に大勢の人が集まりました。SL大樹9号の通過と同時に多彩な花火が打ち上がり、大歓声とともに汽笛が辺りにこだましました。他で見られない機会をくださった皆さんに感謝しています。(2022年12月撮影)
- 入選
「紙吹雪」 平野 敏幸
(愛知県豊田市 挙母神社 拳母祭り)挙母(ころも)祭りの本楽祭は毎年10月の第3日曜日に執り行われる、挙母神社最大の行事です。各町の山車が境内へ駆け込む「曳き込み」が行われ、夕方から祭りのクライマックスである山車の「曳き出し」が始まります。大量の紙吹雪が乱舞する中、神社前の狭い道路を勢い良く曲がっていく山車の様子は観衆も緊張する瞬間です。(2022年10月撮影)
- 入選
「知床の絶景レストラン」(3枚組) 蜂谷 雅人
(北海道斜里町 知床国立公園)世界自然遺産の知床をトレッキング中に遠くで揺れている木を発見。木のてっぺんにはエゾヤマザクラの実を食べるヒグマの姿があり、知床連山の硫黄山をバックに撮影。3日後、知床の道路沿いで再びヒグマを発見。枝を折り、サクラの実を手繰り寄せながら夢中で食べている姿を車の中から撮影しました。(2023年6月撮影)
- 入選
「たかいたかい」 浅野 三雄
(大阪府高槻市 こいのぼりフェスタ1000)芥川桜堤公園で開催される「こいのぼりフェスタ1000」は高槻市の人気イベントで、約1000匹のこいのぼりが芥川上空を泳ぎます。無数のこいのぼりが一斉に風にはためくと壮大な風景を奏でます。この日は若い家族がこいのぼりの下で、たかいたかいと子どもの成長を願っていました。(2023年5月撮影)
- 入選
「コロナ禍を経て、インクラインも運行再開」 高津 弘人
(神奈川県愛川町 宮ヶ瀬ダム)宮ヶ瀬ダム堤体上の遊歩道から腕を目一杯伸ばし、カメラのバリアングルモニター(角度可変式モニター)を使って撮影。あとからこの写真を見返してもムズムズしてしまう高所恐怖症なのですが、この便利な機能には感謝です。わずか6分間の観光放流中に、ダムの上下を結ぶケーブルカーのインクラインが写りこみ幸運でした。(2022年6月撮影)
- 入選
「『ありがとう』を言いたくて…」 高橋 強
(岩手県遠野市 JR釜石線 遠野駅~綾織駅)SL銀河は東日本大震災の復興と地域の活性化を目指し、2014年からJR釜石線で運行されていましたが2023年6月に運行が終了。終わりを惜しみ、多くの人が集まりました。撮影まで待っている間にした会話も楽しい思い出です。地元の方のお出迎えと「ありがとう」の文字に心を打たれ、涙を流しながら撮影した1枚です。(2023年6月撮影)
- 入選
「渦巻く桜花」 谷口 寛一
(岐阜県岐阜市 岐阜公園 日中友好庭園)岐阜公園内に岐阜市と中国・杭州市の友好都市提携10周年を記念して造られた、日中友好庭園があります。杭州市の西湖を模しており、門、塀、東屋も中国風です。四季折々の植物が訪れる人達の目を楽しませてくれますが、特に春の桜が美しく、花びらが池に舞い落ち水面を覆い尽します。その光景をカメラで捉えました。(2022年4月撮影)
- 入選
「船上継獅子」 中川 雄喜
(愛媛県今治市 龍神社 春祭り)今治地方では5月に各地区で春祭りが行われます。中でも九王地区の龍神社の祭りは必見で、人の上に人が乗る「継ぎ獅子」の奉納が船上で行われます。撮影日はよく晴れ、穏やかな海に継ぎ獅子の立ち芸が美しく映えていました。芸の花と言われる「四継ぎ」は最高難度の立ち芸で、何度も挑戦する姿に大きな拍手が送られました。(2023年5月撮影)
- 入選
「夕陽に染まる桃太郎大通り」 伊藤 直美
(岡山県岡山市 岡山電気軌道清輝橋線 郵便局前電停~柳川電停)桃太郎大通りは路面電車も走る岡山のメインストリートです。9月中旬になると夕陽が長く差し込み、通りが赤く染まります。路面電車も車も夕陽に照らされる、感動的な瞬間です。この時は岡山駅に帰る路面電車が柳川交差点で沈む太陽と重なり、車内は赤く染まって乗客はシルエットとなり、イメージ通りの1枚になりました。(2021年9月撮影)
- 入選
「神輿振り」 草信 純雅
(東京都荒川区 素盞雄神社 天王祭)素盞雄(すさのお)神社の神輿は通常4~6本の棒で担ぐところを2本の棒のみで担ぎ、地面につきそうなほど左右へ倒して激しく振る「神輿振り」をします。十数メートル進んで神輿を振る。これを繰り返し、二日間かけて神社まで渡御します。祭りの花形は中央で神輿を支えている担ぎ手で、渡御をやりきった一瞬の表情が撮影できました。(2023年6月撮影)
- 入選
「金色(こんじき)の軌道」 重田 和豊
(東京都練馬区 西武新宿線 上石神井駅)上石神井駅は通勤で使っている駅で、東側に車両基地があります。いつもは慌ただしく見過ごしてしまいますが、休日にカメラを持って撮影に行きました。線路が東西に延びているため、時期によっては線路の延長上に朝日が昇ります。この時も朝日の光をたっぷりと浴びて輝く金色のレールがとても眩しくてきれいでした。(2021年10月撮影)