- 国土交通大臣賞
「春の風物詩」 池田 新一
(大分県別府市 別府八湯温泉まつり 扇山火まつり)別府では4月に「別府八湯温泉まつり」を開催、その期間に行われる扇山の野焼き「扇山火まつり」は夜に浮かび上がる炎の壮厳さとスケールの壮大さから、別府温泉の春の風物詩となっています。扇山全体と別府の湯けむりの街並みが見渡せる沖合の堤防から、街の灯りと真っ赤な炎が映った海面を入れて撮影しました。(2022年4月撮影)
講評:市街地越しに見る野焼きに目を奪われました。眩い街の光と真っ赤に燃え盛る様子が反映された海面が迫力に拍車をかけています。そこにあえて静寂や冷気を感じさせるブルーモーメントの空やシルエット気味の山の稜線を取り入れたことで壮大で余韻溢れる作品が生まれました。たなびく湯煙も別府らしく、スケール描写につながりました。(清水 哲朗/写真家)
- 環境大臣賞
「錦秋の響き」 水野 敬雄
(富山県立山町 称名滝)駐車場に車を止め歩くこと15分、日本一の落差350mを誇る称名滝にたどり着きます。轟音を響かせ流れ落ちる滝は、どれだけ見ていても飽きることはありません。この日は紅葉の全盛期で絶壁を錦の紅葉が彩り、流れ落ちた水は清く澄んでいました。空に流れる雲も爽やかな秋を感じさせ、この壮大な景色を表現するために超広角レンズで撮影しました。(2022年10月撮影)
講評:秋らしい雲、青空、色とりどりの紅葉、澄み切った渓流とこれ以上ないほどの好条件で撮影した称名滝。この光景を目にした時の作者の感動が臨場感よろしく伝わってきます。落差日本一を誇る滝だけに写っているのは下段の一部。この上には何段もの滝が連なっています。水量が多く、緑に包まれた春や夏とは違った魅力、格別な美しさが秋にはありますね。(清水 哲朗/写真家)
- 東日本旅客鉄道株式会社社長賞
「一番列車が来るまでに」 志田 幸夫
(新潟県魚沼市 JR只見線 越後須原駅)真冬には積雪が3~4mを超える、日本有数の豪雪地帯を走る只見線。越後須原駅の一番列車、午前5時58分会津若松行きが来るまで、ホームの除雪は時間との闘いになります。特に冬型の気圧配置が長引き雪が降り続くと、毎朝悪戦苦闘の連続となります。安全に運行できるよう働く人たちには、頭の下がる思いです。(2022年12月撮影)
講評:世界でも類を見ないほど時刻表どおりに運行される日本の鉄道。首都圏から津々浦々まで実践できているのは驚きであり、安心と信頼、利便性につながっています。ただ、利用者は鉄道関係者の日々の努力を想像することは、あまりありません。作者の視点は豪雪地帯での奮闘を静かに伝え、利用者からの感謝の気持ちを代弁してくれているようで心に響きます。(清水 哲朗/写真家)
- 公益社団法人日本観光振興協会会長賞
「ゼロキロポスト」(4枚組) 小野 杏太
(東京都千代田区 JR東北・上越新幹線 東京駅)タイトルの「ゼロキロポスト」は鉄道で始発点を意味することばです。東京駅は全国に広がる鉄道網の起点であるのと同時に、多くの人々が旅を始める、あるいは旅の目的地とする駅です。待合室のガラスに反射する新幹線、遠くに見える丸屋根の駅舎などから、旅に出る前のワクワク感を感じ取っていただけたら嬉しく思います。(2022年3月撮影)
講評:東京駅新幹線ホームを舞台にした組写真。これから始まる旅に興奮しているのか、目に入るすべてが尊く、見落としがないよう鋭い嗅覚かつ独創的な視点で新幹線を絡めつつ、力強く断片的に捉えていく作者に圧倒されます。鉄道と旅、どちらの起点ともとれる印象的なタイトルも想像力をかき立て高く評価できます。旅に出たくなりました。(清水 哲朗/写真家)
- 一席
「ベンガラ色の町」 廣瀬 靖之
(岡山県高梁市 吹屋ふるさと村)中国山地の山々に抱かれた吹屋ふるさと村は顔料に使われるベンガラの産地で、豪商たちが作り上げた町並みが「ジャパンレッド発祥の地」として日本遺産の認定を受けています。赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された町並みを、年に数ヶ月ですがボンネットバスが走ります。町並みととてもマッチし、観光客が盛んに写真を撮っていました。(2023年9月撮影)
- 一席
「サンセットバブル」 田村 貴史
(兵庫県たつの市 新舞子海水浴場)新舞子浜は近畿随一の遠浅海岸で、ギネス世界記録を持つ「シャボン玉おじさん」が度々シャボン玉ショーを行っています。この時はショーを見に来ていた女性にモデルをお願いし、シャボン玉おじさんの演出でほかの撮影者たちも集まって撮影会となりました。モデルさんのシルエットが浮かび上がり、夕日とシャボン玉が花を添えてくれました。(2023年9月撮影)
- 二席
「燃える渓谷」 井上 大輔
(福島県福島市 つばくろ谷 不動沢橋)5年ほど住んでいた福島の磐梯吾妻スカイラインは大好きな場所です。季節ごとに様々な表情を見せてくれますが、木々が色付く秋がお気に入りでした。早朝の朝日に照らされるとあたり一面燃える様な紅に染まり、冷え込んだ日には麓の福島盆地にうっすら雲海が湧きます。不動沢橋の上の人影もくっきりと見え、自然の雄大さを感じる一枚になりました。(2022年10月撮影)
- 二席
「瀬戸の落日」 沖本 祐治
(広島県竹原市 的場山城跡)秋から冬にかけて瀬戸内海の夕日を撮っていますが、この時は翌日から大荒れの天気予報で面白い雲が出るのではと期待していました。日没一時間くらい前に見事な鱗雲が空を覆い興奮気味に撮影していましたが、時間が経つにつれ雲はかなり薄くなりました。連絡船が迫りくる中、変化をつけようと木を取り入れたことで、かえって雰囲気のある写真になりました。(2023年12月撮影)
- 二席
「駈ける」 高橋 邦男
(新潟県胎内市 鳥坂神社 シャングシャング馬)「シャングシャング馬」は五穀豊穣を願う伝統行事で、鈴などの飾りをつけた馬が鳥坂神社へ練り歩きます。一番の見どころは境内までの急坂を一気に馬が駆け上がる「駈け上り」のシーンで、午前午後それぞれ2回のみです。ファインダーで追いかける時間は数秒でしたが、この日は待ち時間に耐え抜いた長い一日でした。(2023年4月撮影)
- 三席
「夕空舞う翼の瞬間」 工藤 嘉晃
(大阪府豊中市 伊丹空港)夕暮れ時に伊丹空港近くの千里川土手へ撮影に行きました。広角レンズを使用して、迫力満点の飛行機が滑走路に向かって降りてくる瞬間を捉えるようにしました。夕空を背景に、飛行機のシルエットと夕日の美しいグラデーションが綺麗に撮影でき、力強さと美しさを合わせたダイナミックな一枚になりました。(2023年5月撮影)
- 三席
「早乙女」 山口 和幸
(京都府南丹市 美山かやぶきの里 お田植祭)美山町の北集落には数多くのかやぶき屋根の家屋があり、重要伝統的建造物群保存地区になっています。毎年5月には五穀豊穣の祈願と早乙女による田植神事が執り行われます。この日は小雨の降る中、早乙女たちが田植えに向かっていました。かやぶきの家とこいのぼりが、日本の原風景を感じさせます。(2024年5月撮影)
- 三席
「日本一の花見山」 熊田 行雄
(福島県福島市 花見山)福島県の春の桃源郷である花見山は、全国的に有名になっております。未明のやわらかな光の中で花々の彩りはしっとりとしており、遠景の吾妻連峰が幻のごとくせまり、かすかに浮ぶ残月がわき役として雰囲気を高めてくれていました。これからも地元の名勝として、撮影を続けていきたいと思っております。(2023年3月撮影)
- 三席
「高架橋の下から見上げる星空」 大城 修
(沖縄県南風原町 沖縄自動車道 南風原高架橋)南風原高架橋はアーチ形コンクリート橋としては世界一の長さがあります。この場所に何度も通い、周囲をぐるぐる周りながら見つけたアングルですが、雲のない好機だと思って出かけても現地ではなかなか雲が切れず、この1枚を撮るのに思いのほか時間がかかりました。魅力的なデザインなので、今後も撮っていきたいと思います。(2024年7月撮影)
- U-22賞
「威風堂々」 北川 雅人
(鳥取県米子市 JR山陰本線 伯耆大山駅~東山公園駅)2月のとても寒い快晴の日、大山がよく見えるだろうとこの場所へ。大山のかすみも晴れてきて車両の顔にも日が当たってきた昼過ぎ、本命のやくも9号が若干遅れて通過。あっという間に走り去りましたが、確認すると通過の一瞬がバッチリ写ってました。大山が完璧に見えるのは稀なので、その瞬間に立ち会えてとてもよかったです。(2024年2月撮影)
- 入選
「駿河の国へ」 中西 敬一
(静岡県静岡市 清水港 三保真崎海岸)世界遺産富士山を望む清水港、三保の松原がある三保半島最先端の真崎海岸からの眺めです。撮影は早朝から富士山がどのように変化していくかを追っていきますが、3年間通ってこのようなチャンスに3回出会えました。日本一深い駿河湾には多種多様な船が出入りしますが、ロイヤルプリンセス号に出会ったのは初めてで誘った友人も喜んでくれました。(2024年4月撮影)
- 入選
「瀧の銀河」 佐藤 善樹
(長野県茅野市 乙女滝)乙女滝は横谷峡の入り口にある滝です。雨上がりの日は水量も多く、勢いよく落ちる滝の飛沫が迫力あります。12月の太陽がこの位置に来る時を予測、飛び散る飛沫をアンダー露出と高速シャツターで止めています。一つ一つの飛沫を逆光で光らせて青空に際立たせ、滝の全体的な形と流れの軌跡を銀河になぞらえました。(2021年12月撮影)
- 入選
「春色特急」 戸田 直子
(岡山県高梁市 JR伯備線 方谷駅~備中川面駅)リバイバル運転する紫色のスーパーやくもをどこで撮るかと考えた時、高梁市の花桃の里が真っ先に浮かびました。何年も通っていますが、この時は訪れるのが遅く花がだいぶ散っていました。でも、散った花びらがピンクの絨毯のようでいつもと違った光景に。今年で紫やくもは卒業となりましたが、花道にふさわしい舞台だったと思っています。(2023年4月撮影)
- 入選
「遥かなる憧憬」 小椋 吏
(茨城県かすみがうら市 霞ヶ浦)霞ヶ浦の風物詩である、帆引き船。タ映えの帆引き船の写真をと思って撮影を始めたところ、なんと夕日に映えた美しい富士山が見えました。標準レンズでは富士山が小さく写ってしまうので、300ミリの望遠レンズに交換して撮りました。好天に恵まれて本当にラッキーでした。遥かなる憧憬です。(2023年12月撮影)
- 入選
「天まで昇れ火の粉の舞」 白山 健悦
(岩手県二戸市 似鳥八幡神社 サイトギ)「サイトギ」は似鳥八幡神社で旧暦の1月6日に行われる伝統行事で、国の選択無形民俗文化財に指定されています。井桁に組んだ木を燃やしその様子などで作物の豊作を占う神事ですが、この時はみぞれまじりの悪天候の中、下帯姿の男衆が炎で燃え盛る木を棒で叩き火の粉を舞い上がらせていました。(2024年2月撮影)
- 入選
「長い夜を越えて」 門脇 正晃
(鳥取県伯耆町 JR伯備線 伯耆溝口駅~岸本駅)昨夜、東京を出発したサンライズ出雲号が中国山地の険しい山々を越えて山陰へやってきました。もうすぐ春とはいえ、まだ夜は長く、冷えた空気に包まれた朝でした。写真はサンライズ出雲号が越えて来た山々と靄の残る山間を背景に沿線の家並みを配置し、夜通し走り続け夜を越えて山陰へ到着したことを表現しました。(2024年2月撮影)
- 入選
「スカイツリーの下を走る」 遠藤 要信
(東京荒川区 都電荒川線 荒川区役所前停留場~荒川2丁目停留場)私は東京に唯一残っている都電荒川線(東京さくらトラム)をモチーフとして、写真を撮っています。この場所はスカイツリーと都電を一緒に写せるので、夜のスカイツリーがライトアップされる時間に合わせて撮影しました。寒い日の撮影は辛かったですが、入選したことで辛さが喜びに変りました。(2024年1月撮影)
- 入選
「夕焼け列車」 坂本 信広
(三重県伊勢市 JR参宮線 宮川橋梁)ここはSLの時代から景観があまり変わらないそうで、残していきたい原風景だと思っています。この日も夕焼けが爆焼けになる予感がしたのですが、日没になっても色がつかず。しかし、快速みえの通過に合わせて爆焼けになり思わずバンザイ!! この時、撮っていたのは私だけ。独占できた喜びとともに、写真を通じて一人でも多くの人に見てほしいと思いました。(2023年6月撮影)
- 入選
「初夏のじゅんさい沼」 鳥居 秀行
(山形県村山市 大谷地沼)じゅんさいは水のきれいな池や沼に自生し、初夏から夏にかけて箱舟に乗って収穫する光景が見られます。この沼では一度絶滅の危機に瀕しましたが、水路や排水溝の整備を行った結果増え始め、現在に至っています。撮影当日まで天気が悪く雨が続きましたが、ようやく晴れたので青空をバックに収穫風景を撮影することができました。(2024年6月撮影)
- 入選
「夕暮れの時」 小野 隆
(兵庫県加古川市 JR加古川線 厄神駅~市場駅)「加古川橋梁を渡る列車と夕日を撮影したい」言葉では簡単ですが、実際は非常に難しく……列車および日没の時刻、太陽の沈む位置、天候、自身の都合などを考えるとチャンスは1年に1回あるか無いかでした。秋が来る度に通うこと数年、「2022年11月4日16時55分」、それは思い描いたシチュエーションでやっと撮影できた瞬間でした。(2022年11月撮影)
- 入選
「道しるべ」 永冨 律好
(福岡県北九州市 平尾台)日本3大カルストの一つである平尾台は、1年を通して様々な景色を見せてくれます。その中でも私の一番は、黄金色に輝くススキが魅せる平尾台です。この日もとても美しく、風に吹かれたススキが夕日に照らされていました。その時の雲の形と石灰岩、ススキの光が「道しべ」がごとく写し出され、お気に入りの一枚になりました。(2021年10月撮影)
- 入選
「雨中試験」 椚 粛明
(山梨県笛吹市 山梨リニア実験線 花鳥トンネル〜上原トンネル)水しぶきを上げて走行するリニアを撮りたかったので、梅雨時に行きました。ただ、撮影した花鳥山展望台は屋根が無くずぶ濡れになり、さらにここは見学センターのように常に高速通過するのを見られるとも限りません。3時間近くいましたが、高速通過したのはこの作品を写した時と準備中に1回の2回でした。少ないチャンスで写せてよかったです。(2024年6月撮影)
- 入選
「飛沫を纏って」 大橋 実
(滋賀県米原市 JR東海道新幹線 米原駅~岐阜羽島駅)CMで有名になった場所ですが、近年は積雪不足で夕陽+積雪+スプリンクラーの三拍子が揃う機会は減少しています。予報を確認しながら幾度も訪れていますが、この日は積雪はないけどスプリンクラーは動いていて、これを逃がしたら次はいつかわからないと撮影しました。狭い撮影現場ですが、幸いにも一人だったので少しづつ位置を変えて撮影できたのもラッキーでした。(2022年2月撮影)
- 入選
「四継ぎ獅子」 芝﨑 静雄
(愛媛県今治市 今治地方春祭り 継ぎ獅子)今治地方春祭りでは各々の神社で郷土芸能「継ぎ獅子」が奉納されます。祭り太鼓のリズムに合わせて肩の上に次々と立ち上がり、一番上で獅子頭をかぶった子供が舞います。野間神社には各地区の継ぎ獅子が集結するので大勢の人が集まり、三継ぎ、四継ぎと高くなっていく獅子舞のスリルを楽しみます。いつまでも残しておきたい伝統行事の一つです。(2024年5月撮影)
- 入選
「神話と神楽の里」(4枚組)長 吉秀
(宮崎県高千穂町 高千穂)神話の里・高千穂には魅力的な被写体がたくさんあります。この時は「高千穂の夜神楽」の撮影に行きましたが、早朝に国見ヶ丘展望台で運よく雲海が見られ、昼は天安河原で石が積まれた洞窟を撮影。午後3時頃には岩戸地区で夜神楽の道行を撮影しました。翌日には高千穂峡へ撮影に行き、運よく2日間で撮影できました。(2023年12月撮影)
- 入選
「絶景のシンフォニー」 鈴木 悠史
(宮城県柴田町 JR東北本線 大河原駅~船岡駅)東北で桜の名所として有名な白石川堤の「一目千本桜」。初めての場所で、人が大勢いて撮影場所を決めるのに苦労しました。アングルを考えていたその時、臨時列車の風っ子号が通過。普通列車を撮影する予定でしたが、偶然にも青空、山、桜、鉄道が調和した瞬間にシャッターが切れました。人が集まる絶景の名所で、とてもよいチャンスに巡り会えました。(2024年4月撮影)