TOP 協会概要
戦後77年が経ち、日本社会の成熟と共に経済成長至上主義や物質第一主義からの脱却の必要性が人々の共通認識となりつつあります。これからの国造りのビジョンをどこに求めるのか、世界に打ち出していくべき日本の新しい姿は何なのかを考えた時、それは芸術・文化にあると思います。当協会はこのような考えのもと、交通にかかわる文化活動を軸に、積極的な芸術・文化活動を展開してまいりました。
当協会は、鉄道旬刊誌を主宰したジャーナリストの瀧冨士太郎が、交通文化への貢献を目的に1948年に設立しました。1953年に立ち上げた「交通人総合文化展」は、2001年から「交通総合文化展」に名称を改め、現在に至っております。毎年秋、JR上野駅など公共空間を会場に、全国から公募した写真や俳句などの秀作を観て頂く機会を提供しています。また育英事業として二つの奨学金制度を設けています。鉄道係者の子弟を対象とした「瀧冨士基金」は1968年の発足以来、延べ約1900人の学生に給付・貸与してきました。もう一つの「国際瀧冨士美術賞」は、将来が嘱望される国内外の美術・芸術系大学の学生に奨学金を給付しています。1980年に発足し、2019年に40周年を祝いました。
さらに芸術・文化のさらなる発展のため、力を入れているのがパブリックアートです。公共空間にアートを設置し、人々が芸術・文化に自然と触れられる機会を増やすことは、うるおいのある社会を目指す上でも大切です。2000年には「パブリックアートの振興に関する提言」をまとめ、政、財、美術など各界の有識者に提言を行ないましたが、これを契機にパブリックアートの重要性に対する認識が浸透しつつあると感じています。
以上の考えのもと、私たちはこれからも着実に一歩づつ前進していきます。当協会の活動に対し、ご理解とご支援、ご協力を賜りますよう、お願い致します。
企業経営者でもある滝理事長は「企業はビジネスだけでなく、文化創造の主体にならなければならない。それによって社会の発展に貢献できる」との信念を一貫して持ち続けてきました。2020年10月に文化功労者に選ばれたのも、長年の文化芸術への貢献が認められたものです。
◇文化芸術への4つの支援
滝理事長の文化芸術への支援と振興は4分野に分かれます。
1 アーティストを志す若者への支援 -国際瀧冨士美術賞の事業を推進-
アーティストを志す若者への支援では、国際瀧冨士美術賞の事業を推進しています。1980年に設立されたこの賞は、国内外の美術・芸術系大学の4年生を対象としており、この種の賞としては最も歴史があります。2021年で42年となり、受賞者総数は823人を数え、賞金である奨学金の給付総額は約2億4千万円超に上ります。2022年現在、日本をはじめ8カ国25校を対象としていますが、国内外で活躍する著名なアーティストを多く輩出しています。
2 アーティストや芸術家に創作の機会を提供 -クレアーレ熱海ゆがわら工房を製作拠点に-
滝理事長はアーティストや芸術家に創作の機会を提供することに長年、取り組んできました。1972年にパブリックアートの第1号を東京駅に設置したのを皮切りに、各地にパブリックアートの作品を設置しています。その製作拠点として1981年、陶板レリーフとステンドグラスを製作するクレアーレ熱海ゆがわら工房(静岡県熱海市)を設立。運営は株式会社エヌケービー(東京都千代田区、代表取締役社長:外谷敬之)が行っていますが、今日では自他共に認める高い技術を確立しています。アーティストや芸術家とのコラボレーションも活発に行い、2022年6月末現在で日本全国に設置した陶板レリーフとステンドグラスを中心としたパブリックアートは551を数えます。滝理事長は近年、漫画家にも声を掛け、その原画をステンドグラスや陶板レリーフにするなどポップアートとも協力し、作品のすそ野を広げています。
3 文化芸術を身近なものに -交通総合文化展に注力-
滝理事長は文化芸術を暮らしの中に溶け込ませ、人々にとって文化芸術が身近なものにする活動に力を入れています。パブリックアートが駅舎や空港、学校、公園などに設置されることで、人々にとって身近に文化芸術に触れる機会となっています。交通総合文化展もその一つです。1954年に前身となる交通人総合文化展が始まり、内容を工夫しながら今日に至っています。交通総合文化展では毎年10月、JR上野駅中央改札を出たコンコースを会場に、鉄道や風景、観光地などをテーマに全国公募した写真と俳句の中から優秀な作品を紹介するほか、日本の第一級の芸術家の絵画、書などの作品を展示しています。さらに、その年に設置したパブリックアート作品のパネルを展示し、国際瀧冨士美術賞OBによる創作発表の場にもなっています。
4 文化芸術を重視した文化政策への転換を -1%フォ-・アートの法制化を求め-
滝理事長が国の文化政策について取り組んできたのが「1%フォ-・アート」の法制化を求める活動です。1%フォ-・アートは公共建築物の費用の一部(国によって1%~0.5%などさまざまです)を、その建築物に付随する文化芸術に使う政策です。欧米では以前から法制化され、アジアでは韓国と台湾で取り入れられています。滝理事長は2000年に東京藝術大学名誉教授の平山郁夫氏と清家清氏をはじめとする芸術、交通、学識の各界の有識者で構成する委員会を組織し、「パブリックアートの振興に関する提言」をまとめ、文化庁長官や運輸大臣などに提出しました。ここで大きな柱となったのが1%フォ-・アートの法制化です。日本でも認識が広がりつつあり、日本美術家連盟が2019年に1%フォ-・アートについてのシンポジウムを開いたときには全面協力しました。2020年5月には「文化芸術の抜本的な振興のための提言 コロナ禍のいまこそ『1%フォ-・アート』の実現を」をまとめました。
名称 | 公益財団法人 日本交通文化協会 |
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設立 | 1948年(昭和23年)9月30日 |
所在地 | 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-1-3 東京宝塚ビル TEL:03-3504-2221 FAX:03-3504-2224 |
事業内容 |
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役職名 | 氏名 | 他の主な役職 |
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代表理事・理事長 | 滝 久雄 | 株式会社エヌケービー 取締役会長 創業者 / 株式会社ぐるなび 取締役会長 創業者 |
理事 | 合原 一幸 | 国立大学法人東京大学 国際高等研究所 ニューロインテリジェンス国際研究機構 副機構長 |
梅﨑 壽 | 東京地下鉄株式会社 名誉顧問 | |
隈 研吾 | 国立大学法人東京大学 特別教授 | |
日比野 克彦 | 国立大学法人東京藝術大学 学長 | |
室伏 きみ子 | 国立大学法人お茶の水女子大学 名誉教授 | |
常任理事 | 西川 恵 | 公益財団法人日仏会館 評議員 |
監事 | 石田 義雄 | 株式会社JR東日本パーソネルサービス 顧問 |
大須賀 賴彦 | 小田急電鉄株式会社 特別社友 | |
評議員会長 | 松浦 晃一郎 | 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ) 第8代事務局長 |
評議員 | 加藤 暁子 | 公益財団法人AFS日本協会 理事長 / 日本の次世代リーダー養成塾 事務局長 |
根津 嘉澄 | 東武鉄道株式会社 代表取締役社長 | |
野本 弘文 | 東急電鉄株式会社 代表取締役会長 / 東急株式会社 代表取締役会長 |
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原田 一之 | 京浜急行電鉄株式会社 代表取締役会長 | |
ベルナール デルマス | ミシュラングループ シニアアドバイザー/ 日産自動車株式会社 社外取締役 |
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山木 利満 | 小田急電鉄株式会社 顧問 | |
滝 裕子 | 株式会社パンダネット 代表取締役社長 | |
外谷 敬之 | 株式会社エヌケービー 代表取締役社長 | |
顧問 | 野依 良治 | 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター長 |
宮田 亮平 | 金工作家/ 国立大学法人東京藝術大学 名誉教授 |
(2022年7月1日現在)