- 国土交通大臣賞
「大好きな故郷(ふるさと)」 増田 俊次
(熊本県阿蘇郡 南阿蘇村)阿蘇外輪山山麓にある南阿蘇村には阿蘇の大地をこよなく愛し、地道にたくましく生きる農業家族がいます。「農業を継いだのはこの村のこの自然を子供たちに残したいから」と言う彼ら。美しい自然と家族の温もり、そして大好きな故郷を守っていくという思いを感じてもらえたらうれしいです。(2020年10月撮影)
講評:生産者のご家族でしょうか。収穫した稲穂を手に満面の笑みを浮かべている姿に見ているこちらも自然と笑みがこぼれます。作者の巧みな話術と信頼関係の賜物でしょうが、周辺環境の捉え方含め画面構成力が素晴らしいですね。「人を通じてその土地の魅力を知る」のは観光の原点かもしれません。(清水 哲朗/写真家)
- 環境大臣賞
「紅に染まる伊豆沼」 遠藤 芳雄
(宮城県栗原市 伊豆沼)1985年に水鳥と湿地の保存を目的とした国際条約「ラムサール条約」に指定された伊豆沼は、秋から冬にかけて10万羽以上の渡り鳥が越冬のため飛来します。鳥たちが日の出直後の朝焼けの中を一斉に飛び立つという条件は年に何度足を運んでもそう出会えるものではないため、夢中でシャッターを切りました。(2021年2月撮影)
講評:国内で2番目にラムサール条約湿地に登録された宮城県伊豆沼・内沼。冬の早朝に数万羽のマガンが一斉に飛び立つ光景は何度見ても圧巻です。空の焼け具合、雲の形、日の出と絡めてマガンの大集団がこちらへ向かってくるショットを狙えるのはシーズンに何度もありません。限られたチャンスをモノにした傑作です。(清水 哲朗/写真家)
- 九州旅客鉄道株式会社社長賞
「花のトンネル」 鹿島 和生
(大分県日田市 JR久大本線 豊後中川駅)桜や桃、菜の花といった美しい花々が咲き乱れる豊後中川駅。三度目の正直となる今回、過去の訪問では叶わなかった色とりどりの花々で賑わう駅の姿が見られました。当日は天気にも恵まれ、撮影に励む沢山のカメラマンに交じって撮影した中から特急ゆふいんの森号との一枚を選びました。(2020年3月撮影)
講評:種類の違う花々が一斉に咲く久大本線「豊後中川」駅の春の景色。そこへ特急ゆふいんの森号が入線してくる様子はこれ以上ないぐらいの共演でしょう。緊張感を描く縦位置構図で特急を点景として捉えていますが、絶妙な構図バランスにより花以上の存在感に写すことに成功。ホームと人を写し入れたことで余韻溢れる作品となりました。(清水 哲朗/写真家)
- 公益社団法人日本観光振興協会会長賞
「朝まづめ」 段 スコール
(千葉県君津市 ヅウタ親水公園)釣り愛好家に知られる笹川湖湖畔は公園や散策路があり、自然を楽しめる場所です。日の出前後の魚がよく釣れるといわれる「朝まづめ」の時間帯、悠々と釣りを楽しむ方の姿を見て車を止めました。冷え込みで水面に立ち昇る霧の神々しさに思わずカメラを構え、朝日が差し込んだタイミングで撮影しました。(2020年12月撮影)
講評:大きく冷え込む朝だったのでしょう。温かな湖水と冷気がぶつかり霧が発生しています。半逆光ポジションからレンズを向けたことが功を奏し、霧と光芒が幻想的に描かれました。この光線状態だと湖面に浮かぶ船と釣り人はシルエットになりますが、これがよいアクセントとなりスケールを感じる絶景となりました。(清水 哲朗/写真家)
- 一席
「洋野エモーション」 白山 健悦
(岩手県洋野町 JR八戸線)JR八戸線を走る「TOHOKU EMOTION(東北エモーション)」は東北の食材を使ったメニューが提供されるレストラン列車です。「洋野(ひろの)エモーション」とはその乗客に大漁旗や手を振って歓迎するおもてなし活動で、超広角魚眼レンズで歓迎する人たちと手を振る乗客たちを1枚の写真に収めることができました。(2020年8月撮影)
- 一席
「大空へ」 平野 敏幸
(愛媛県新居浜市 新居浜太鼓祭り かきくらべ)新居浜太鼓祭りは「男祭り」の異名を持つ、四国三大祭りのひとつ。上部地区山根グラウンド統一寄せでは、約3トンの太鼓台を“かき夫”と呼ばれる150人余りの男衆が担ぎ上げる“かきくらべ”が行われます。揺れて重心を取るのが難しく崩れてしまうことも多い“差し上げ”の瞬間を捉えました。(2019年10月撮影)
- 二席
「走れランナー、走れ新幹線」今井 智己
(埼玉県さいたま市 JR上越新幹線 大宮駅~上野駅)さいたま国際マラソンのランナーが大集団で駆け抜ける迫力の様子と新幹線を同時に収められたらと思い、ランナーが見渡せる場所でカメラを構えました。スタートが切られて数分後、大集団の先頭が高架を通過した時にまるでランナーを応援するかのように新幹線が来てくれました。(2018年12月撮影)
- 二席
「雪降る夜の最寄り駅」 井口 晃志
(三重県菰野町 近鉄湯の山線 中菰野駅)いつか撮りたいと考えていた、最寄り駅の雪景色。仕事を終えた駅員さんと降りしきる雪、電車の暖かい光が相まって印象的な1枚になりました。小さな単線ローカル線ですが、幼い頃から慣れ親しんだ私や地域の人にはとても大切な電車だからこそ、この写真で賞をもらえたことを非常にうれしく思います。(2021年2月撮影)
- 二席
「盛夏」 小野木 文一
(島根県浜田市 JR山陰本線 折居駅~三保三隅駅)ここは山陰本線の有名な撮影地で、日によって景色が様々に表情を変える、お気に入りの場所です。撮影当日、エメラルドグリーンに輝きいい具合に波が立つ海と見事な巻雲の躍動感あふれる爽快な景観に、乗客もこの景色に見とれながら旅を楽しんでいるのかな、と想像しながらシャッターを切りました。(2018年8月撮影)
- 三席
「太陽の誘導灯」 對馬 幸雄
(青森県青森市 青森空港)東に八甲田連峰、西に津軽の象徴の岩木山を望むロケーションが最高の青森空港。この日は上空の寒気の影響で霞がかっていましたが、真ん中の誘導灯線上の太陽の周りにハロが出現。昨今の運休で便数が少ない中、上空のハロに誘導されるかのように絶妙なタイミングで飛んで来てくれた飛行機を撮りました。(2021年4月撮影)
- 三席
「ただいま修行中」 長谷川 裕二
(佐賀県鹿島市 祐徳稲荷神社 初午祭)日本三大稲荷のひとつ、祐徳稲荷神社。2月の「初午祭(はつうまさい)」では様々な伝承芸能が奉納されます。参道を奉納しながら進む「道行(みちゆき)」では、佐賀を代表する民俗芸能・面浮立(めんぶりゅう)の一行の先頭で可愛らしい演者が大人顔負けの迫力ある踊りを演じていました。このお祭りに来ると「ようやく春が来たな」と実感します。(2020年2月撮影)
- 三席
「でんでんきたっ!」 秋澤 真希子
(東京都江戸川区 JR総武線 平井駅~亀戸駅)アジサイを見に行ったにも関わらず、数分刻みにやってくる電車にキャッキャと足をバタバタさせて大喜び。「きたよ!みて!」と言わんばかりの表情でうれしそうに教えてくれる瞬間が愛おしいな~と思い、カメラに収めました。これをきっかけにすっかり電車が大好きになり、今では立派な“子鉄”です。(2021年6月撮影)
- 三席
「クライマックス」 吉田 昌弘
(新潟県新潟市 にいがた総おどり祭)新潟市で行われる日本最大級のオールジャンルダンスフェスティバル「にいがた総おどり祭」は市民有志の手で開催されており、今では日本のみならず世界各国からもたくさんの人が訪れ、一緒になってこのお祭りを作り上げています。祭りの最後に集まって踊る若者の一体感には毎年感動させられます。(2019年9月撮影)
- U-22賞
「春風のテールライト」 内田 匠優
(山梨県甲州市 JR中央本線 甲斐大和駅)特急あずさ号通過待ちのため、停車した甲斐大和駅。誰もいない静かな駅には満開の桜が咲いていて、初めて見るその完璧な咲き具合にとても感動したのを覚えています。スローシャッターで列車を大きくブラして、右奥の笹子トンネルへと吸い込まれていくような特急の姿と桜を写すことができました。(2021年4月撮影)
- 入選
「寒い朝」 山田 徹
(岐阜県瑞穂市 樽見鉄道 東大垣駅~横屋駅)樽見鉄道を撮り始めて5年以上になりますが、雪の写真がないことに気付きました。背景に揖斐川橋梁(いびがわきょうりょう)と山が入る瑞穂市横谷を撮影地と決め、昨シーズンから狙い始めました。雪の予報日に早朝から出かけたもののすでに雪は止んでいましたが、霧の合間から雪山が顔を出し満足のいく一枚が撮れました。(2020年12月撮影)
- 入選
「航路はサバンナ」 工藤 光義
(東京都江東区 青海埠頭)夕景撮影を目的として、昨年の8月にお台場に足を運びました。折しもコロナ禍のため、人影もまばらでよい被写体に巡り合えずあきらめかけていたところ、高速ジェット船が大量の水煙をあげ疾走してきました。その姿に海のキリンといわれるクレーンを重ね合わせてシャッターを切りました。(2020年8月撮影)
- 入選
「紫陽花の夕映え」道信 タケオ
(東京都江東区 旧中川水辺公園)江東区の景観重点地区に指定され、カヌーやカヤックも楽しめる旧中川水辺公園。5種類のアジサイが咲き誇る背景には東京スカイツリーという風光明媚な場所です。夕刻、黄金色に染まるアジサイとツリーが都市の一日の終りを飾る時を見守りながらシャッターを切りました。(2021年6月撮影)
- 入選
「銀河鉄道ホタルの旅」 臼井 寛
(岡山県岡山市区 JR津山線 福渡駅~神目駅)今回の撮影では星とホタルと列車の共演をイメージしたタイトルを決めてから、現地に入りました。当初、空はどんよりとした曇り空で心配でしたが、ホタルが飛び始める頃には雲も晴れてスッキリとした快晴となり、思い描いていた列車とホタルと星空を撮影することができました。(2021年5月撮影)
- 入選
「最後までよろしく」 久富 有純
(東京都品川区 JR東海大井車両基地)友人に誘われ、始発で大井車両基地へ。引退装飾が始まった700系を撮影できたらと思っていたところ、しばらくして突然目の前に700系がやってきました。さらに列車に向かう乗務員さんも! いくつもの偶然が重なったと同時に、乗務員さんの様々な想いも感じ取れるお気に入りの一枚です。(2020年2月撮影)
- 入選
「煌めく冬の知床」 田村 悠也
(北海道斜里町 プユニ岬)北海道の冬景色を求めて訪れた知床。いくつもの自然現象が重なることで見られる知床の流氷は遥か彼方の海から流れ着いているというだけでもロマンチックですが、この場所では沈む夕日と一緒に眺めることができます。一面に広がる流氷とそれを囲む知床の大地が、夕日と共に煌めいていました。(2019年2月撮影)
- 入選
「秘境の駅」団 芳男
(徳島県三好市 JR土讃線 坪尻駅)雪の予報が出た日、四国に2つしかないスイッチバック駅のひとつ、坪尻駅が見渡せる展望台に行ってきました。時折激しく雪が舞うあいにくの天候でしたが、1両編成の普通列車が入ってきた時にちょうど雪が止み、スイッチバックしたところを撮影することができました。(2021年1月撮影)
- 入選
「ゴジラ出現」 石井 良明
(神奈川県横須賀市 くりはま花の国)ゴジラの口近くに飛行機を入れた写真を撮りたい、ゴジラの存在感を見せたいと思いこの場所に何回も通いました。この上空は不定期な航空路なので、一日全く通過しない日もありましたが、この日は約30分間航空路となったため、ゴジラ付近を飛行機が通過したところを写すことができました。(2021年4月撮影)
- 入選
「水上のおひなさま」 河本 泉
(福岡県柳川市 柳川雛祭りさげもんめぐり)2年ぶりに行われた、柳川雛祭りのおひな様水上パレード。柳川名物「どんこ船」に華やかな和装で着飾った女児たちが乗り、さげもんが飾られたお堀をめぐります。石積みの柳川城堀水門を船頭さんの巧みな竿さばきでくぐり、橋の上から声をかけると女児たちが見上げて手を振ってくれました。(2021年3月撮影)
- 入選
「銀河旅行」(3枚組) 秋篠 重仁
(岩手県遠野市 JR釜石線)「銀河ドリームライン釜石線」の愛称で親しまれるJR釜石線。沿線の花巻市出身の童話作家・宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』にちなんで名付けられました。そんな釜石線を走る、2014年から運行を開始した「SL銀河」が春爛漫の中、煌めきながら過ぎ去って行きました。(2019年4月撮影)
- 入選
「朝もやをぬけて」 河野 潔
(茨城県常総市 関東鉄道常総線 三妻駅~南石下駅)この日は朝霧が立ち込めていましたが、徐々に朝日が差し込んできました。田植が終わった田んぼが銀色に輝く中、朝もやを抜けた列車が颯爽と駆け抜けていきました。偶然見つけた場所で他に撮影者は見かけないので自分だけの秘密の場所と思っていましたが、実は結構有名な場所だったようです。(2021年5月撮影)
- 入選
「急げ!ワクチン」(3枚組) 立川 明
(神奈川県横浜市 横浜市営バス)新型コロナウイルスにより今までの日常が劇的に変わりました。雨の日の接種会場へのシャトルバスは、人々の経験したことのない不安と恐怖を表しているかのようでした。人類の叡智を結集しワクチン接種でコロナに打ち勝ち、長く暗いトンネルを抜けて平和な日々が戻るのを祈るばかりです。(2021年7月撮影)
- 入選
「秋の夜のコンチェルト」 相馬 達也
(栃木県小山市 おやまバルーンフェスタ)小山総合公園で行われた熱気球イベント。初めての花火撮影で勝手がわからず、決めた構図の遥か上に花火が上がったりする中、運を天に任すようにシャッターを切りました。唯一フレームに収まった愛着のある1枚が選ばれたことはうれしく、バルーンの魅力も伝えられたら望外の喜びです。(2019年11月撮影)
- 入選
「気合を入れて」 松原 朋美
(福岡県田川市 風治八幡宮 川渡り神幸祭)450年以上続き、福岡県指定無形民俗文化財に登録されている「川渡り神幸祭(じんこうさい)」。彦山川を渡る時に若衆たちが山笠を激しくゆすって水しぶきを上げる迫力に夢中でシャッターを切りました。コロナの影響で2年続けて中止となっていますが、またこの伝統的な祭りを撮りに行ける日を楽しみにしています。(2019年5月撮影)
- 入選
「ただいま子育て中」 林 博
(北海道根室市 風蓮湖)九州に住む私にとって北海道は特別な地域で、たびたび訪れています。ツアーで滞在した風連湖畔の宿の主人に「朝早く湖に行くとよい写真が撮れる」と勧められ、早朝の日差しの中で出会った丹頂鶴の親子。絶滅危惧種の丹頂の赤ちゃんが無事に育ちますようにと願った、命きらめく夏の北海道でした。(2018年6月撮影)
- 入選
「家路へ…」 鈴木 良昭
(静岡県掛川市 天竜浜名湖鉄道 原谷駅~原田駅)ローカル線の頑張っている姿を写真で伝えたいと原野谷川橋梁(はらのやがわきょうりょう)を渡る列車を夕暮れ時の川岸で待ち、夕焼けと風が止まった夕凪のタイミングが一致した素敵なシーンが撮影できました。これからも写真というツールで、われらが地域のローカル線「天竜浜名湖鉄道」にエールを送っていこうと思います。(2020年2月撮影)
- 入選
「秋の秘境」 三木 雅也
(徳島県三好市 JR土讃線 小歩危駅~大歩危駅)土讃線は香川県多度津駅から高知県窪川駅に至るJR四国の鉄道路線です。徳島県と高知県の県境に近い小歩危駅(こぼけえき)、大歩危駅(おおぼけえき)間で、日本三大暴れ川のひとつに数えられ「四国三郎」の異名を持つ吉野川沿いの峡谷を走る列車を撮影しました。紅葉の時期は峡谷を囲む山々の絶景が楽しめる場所です。(2020年11月撮影)
- 入選
「希望の天空(そら)へ」 水溜 恵子
(鹿児島県伊佐市 曽木の滝)幅210メートル、高さ12メートルという壮大なスケールから「東洋のナイアガラ」とも呼ばれる曽木の滝。大雨の降った翌日、滝に出る虹を見たくて早朝から夕方近くまで滝の前でカメラを構えていました。「もう少し粘ってごらん」とのアドバイスを信じて待っていたら、幻想的な虹に巡り合えました。(2020年7月撮影)
- 入選
「自然と共存」 森川 克巳
(岡山県倉敷市 水島コンビナート 児島宇野津の棚田)コンビナートと田植え時の棚田の写真を撮りたくて通っていますが、梅雨や黄砂などの影響で夕焼けに出会える日は少ないです。この日は雲の切れ間から射す夕陽でコンビナートが輝き棚田には夕焼けが映え始め、刻々と変わる素晴らしい景色でした。この風景が続くよう、自然を守らねばと思います。(2020年7月撮影)
- 入選
「碧きサフィール」 谷口 晃都
(神奈川県小田原市 JR東海道本線 早川駅~根府川駅)冬晴れの日、列車と海を迫力のある構図で撮影したいという目標を持ち、様々な角度から狙える石橋鉄橋周辺で撮影に臨みました。海を背景に鉄道橋とわかるように鉄柱をフレーミングしつつ、一瞬で通過する列車が切れない瞬間を狙いどおりベストなタイミングで撮影できました。(2021年2月撮影)