国際交流促進事業

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国際交流促進事業

文化・芸術を通じての国際交流

国際瀧冨士美術賞 内外受賞者たちの交流

国際瀧冨士美術賞を受賞して来日した海外の学生および指導教員を対象に、国内受賞者たちと一緒にクレアーレ熱海ゆがわら工房を訪問し、パブリックアート製作現場の見学やワークショップを実施。授賞式および懇親会においても、交流を図っています。
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交通総合文化展 訪日外国人へのPR

JR上野駅グランドコンコースなどのパブリックスペースにて開催する交通総合文化展において、訪日外国人の方々に対し、日本の文化や景勝地、風俗、自然を紹介する公募作品(写真・俳句)を展示するほか、当協会のパブリックアート普及振興活動をPRしています。
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ペア碁国際競技大会への協賛

公益財団法人日本ペア碁協会が主催する、世界各国・地域の選手が参加する国際アマチュア・ペア碁選手権大会などの国際大会に協賛し、当協会の取り組みを国内外にPRしています。
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留学生など若手アーティストへの学びの機会の提供

日本交通文化協会は日本の陶板製作技術を学びたいという外国人の若手アーティストを、国際交流の一環で協力関係にある「クレアーレ熱海ゆがわら工房」(静岡県熱海市泉)に紹介しています。これまでフランスから2人の学生とアーティストが陶板製作の研修を受けました。

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マリア・シルチェンコさんは母国ウクライナからフランスに留学し、パリ国立高等美術学校で絵画と彫刻を専攻。2018年秋から交換留学で来日し、東京藝大で陶器製作に携わっていました。
彼女は19年3月に留学を終えてパリに戻らなければならなかったのですが、作陶技術を深めたいと、工房で研修ができないか当協会に打診してきました。
工房が受け入れを快諾し、19年2月から5月までの約3カ月間、マリアさんは工房脇の宿舎に滞在して、陶板製作技術の研修を受けました。工房は温泉で知られた奥湯河原に近い、緑の中にあるので、寂しくなるのではと少し心配しましたが、懸念は無用でした。時々、工房から約30分かけて徒歩で海岸に行き、デッサンをしたり、海を眺めたりして、「この素晴らしい環境にずっといたい。ここにいたらいろいろな作品を生み出せると思う」と話していました。

工房の釉薬の責任者である鈴村敦夫さんの提案で、陶板を担当する若い女性スタッフ2人を含めた4人で、合同展を開くことも決まりました。1カ月かけて制作したマリアさんの作品は大小10点。会場は熱海市内の由緒ある起雲閣で、4月下旬から約3週間開かれ、多くの来場者が熱心に見ていました。
マリアさんはパリ国立高等美術学校を卒業後、大きな試練に見舞われました。ロシアが母国ウクライナに侵攻し、母や兄弟がドイツに避難しました。マリアさんも家族と合流し、いまはドイツを拠点にアーティストとして活動しています。2023年に一時、来日した時に「私がウクライナ人と知ると、展覧会の会場を提供してくれたり、作品を買ってくれたりと、勇気づけられています」と語っていました。

 

アリサ・ニコラエヴァさんは2023年9月半ばから3カ月、研修のため「クレアーレ熱海ゆがわら工房」に滞在しました。

アリサさんは1991年、ロシアのサマラ生まれで、地元の建築大学でグラフィックデザインを専攻。フランスのピカルディ大学、パリ国立高等美術学校で環境芸術を学びました。2018年に卒業後は、パリの工房に所属して製作を続けながら、欧州各国で展覧会を開催しています。

彼女は環境芸術を基本に据えながら、絵画、彫刻、デザインなど幅広く勉強してきて、日本の陶製作技術を身につけたいと当協会に研修申し込みが来ました。本来は2020年春から研修予定でしたが、コロナ禍で来日が3年延びました。
アリサさんは工房宿舎に滞在しながら、釉薬の調合や、造形について、指導担当の鈴村敦夫さんの助言を受けながら作品製作を行ってきました。信楽の窯業技術試験場で行われた研究会にも参加するなど、日本の陶と釉薬について積極的に吸収しました。彼女はフランスでも陶の製作をしていましたが、日本の土はフランスの土と違って粘りがあり、このため造形や、そこにかける釉薬、さらには窯での焼成温度も工夫が必要で、「いい経験を積めました」と言っていました。

当協会が主催する国際瀧冨士美術賞では、授賞式前日に日本と外国の受賞者と指導教官が工房を見学します。今年も30人近くが工房を訪れましたが、アリサさんは自分の製作中の作品を説明し、米国のアートセンター・カレッジ・オブ・デザインの先生方とも交流しました。

アリサさんは12月半ば、新たに買った大きなトランクに製作した作品を詰め込み、帰国しました。「クレアーレ熱海ゆがわら工房は広く、清潔で、緑豊かな周囲の環境もすばらしい。3カ月間、1歳の娘の世話も、家事も忘れて製作に打ち込めた贅沢な日々でした」と語っていました。

当協会はこれからも文化を通した国際交流の一端を担っていきたいと思っております。

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