JR東海 浜松駅「伸びゆく浜松」
のびゆくはままつ
陶板レリーフ,アルミキャスト,ガラス

陶板レリーフ、アルミキャスト、ガラス「伸びゆく浜松」 原画・監修:ルイ・フランセン
JR東海 浜松駅北口駅前地下広場 1983年12月完成 原画を見る

作家より

ルイ・フランセンパブリックアート作家(壁画、ステンドグラスなど)浜松の壁画をやると決まってすぐ、わたしは車で取材旅行をおこないました。浜松は明るく、広く、風、海、湖、どれをとりあげてもすばらしく美しい世界でした。それからわたしは資料をいろいろ集めて歴史の勉強をおこないました。浜松城のこと、たこあげのこと、そして戦災で焼け残ったプラタナスのこと。非常に印象的な事柄がいくつか心に刻みこまれました。
たこあげという遊びは、人々が夢をあげているように、わたしには思えました。また、戦災でただ一本残ったプラタナスの木に、自然と生命力を見ました。人は夢を見、そこから生活を始めるのです。それが自分を発見することにもつながるのです。
現代のテクノポリスにとって大切なのは、ロボットではなく、人間の心です。動いている、透明な心。それを水晶のかたちに託して表現したつもりです。一見ひ弱そうですが、弱さを知っている人ほど、ほんとうはいちばん強いのです。
この作品は、浜松をとおして心に感じ、そして得たものをモチーフとして、自然・風土・歴史・人そして産業を表現しました。壁画の前を通りすがる人が、壁画と対話し、生きるよろこびを感じ、微笑をうかべていただければこの上ない幸せです。

制作ノート

浜松の街を取材旅行するなかで、「戦災で焼け野原になった街で、焼け枯れた1本のプラタナスの木が芽を出していた。」という話と出会い、それが着想のきっかけとなった。その印象的な事柄は中央のアルミキャストで表現されている。アルミキャストの中心に、復興する街の人びとの心を象徴するかの様な大きな琥珀色のガラス塊を組み込んだ。ガラスは光学ガラス工場の坩堝から出たままの塊を磨きあげたものだ。プラタナスのモニュメントを挟み、左に湖や大凧揚げなどの浜松の風物を、右にピアノやオートバイなどテクノポリス浜松の産業を陶板レリーフで構成している。

作品によせて

浜松市長
栗原勝
『市民に親しまれる潤いと豊かさのある空間に』
50万都市・浜松にふさわしい玄関をという構想のもとに、およそ2年の歳月をかけて建設を進めてきた浜松駅北口広場も昭和57年に完成しましたが、さらにこの地下広場に「伸びゆく浜松」をテーマとした修景施設としてその中心となるモニュメントならびに壁画を設置することといたしました。
この実現のため修景全体の計画を東京芸術大学美術学部長清家清先生を委員長とする修景施設計画委員会にお願いいたしました。
地下広場という空間は、ややもすれば人工的になり、潤いや彩りの乏しい場所になりがちな傾向にあります。ここに除幕のはこびとなりました壁画は、これらのことに充分配慮して、市民の皆様に親しんでいただける快適な空間とするためアルミキャストと陶板の組合せにより豊かな創造性と夢をもつ芸術性の高いレリーフとなっております。
壁画の制作は、現代日本の制作活動を代表するルイ・フランセン先生の担当によるものでありまして、浜松の自然・風土・歴史・人、そして産業をモチーフに静と動の調和という形で描かれております。
「伸びゆく浜松」というテーマにふさわしく、また、調和のとれた人間都市をめざす浜松市の姿を象徴した作品の完成をみましたことを心から嬉しく思います。また、本作品製作に大変御尽力賜りました財団法人日本交通文化協会に対しまして衷心より御礼申しあげます。

東京芸術大学美術学部長、建築家・工学博士
清家清
『実現した夢』
戦後間もなく戦災の焼跡と云ったほうがよいような秋、浜松市を訪ねたことがある。私はまだ30代の若い助教授時代で、古建築調査の為出張の途次であった。栗原市長も未だ一介の市吏員、国土再建の夢を語り合った。私が復員して東京工業大学の助手に復職した年に栗原さんは東京工業大学の建築学科を卒業され、2~3年副手をして居られたので、栗原さんは私の同僚でもある。
その栗原さんにこの浜松駅北口駅前広場修景施設計画委員会をこしらえるから知恵を出せと云われ、30年前に語り合った夢をもういちどということになって、よろこんでその委員会をお引き受けすることになった。委員には、蓮田修吾郎(日本芸術院会員)、ルイ・フランセン、荒木正彦(東京芸大講師)などの諸氏を、お迎えして、今回中間発表的に壁画が竣工除幕の運びとなった。ご同慶の至りである。
先に小広場の花時計が完成、このあと、中央部分のモニュメント/造園が完成すれば本計画は完成する。
欧米では法律によって、公共建築物にはその工事費の一定率をこのような美術的な修景に使うよう決められている国が多い。文化行政の振興に力をそそがれている当浜松市の姿勢に敬意を表し、祝辞に代えさせて頂こう。

作品データ

原画・監修ルイ・フランセン 企画浜松市 (設計:修景施設計画委員会)、日本交通文化協会
場所JR東海 浜松駅北口駅前地下広場 マップ 製作クレアーレ熱海ゆがわら工房、クレアーレ信楽工房
設置時期1983年 12月 ニュース
種類陶板レリーフアルミキャストガラス
サイズ縦3.4m × 横28.4m
キーワード浜松 

作品データ

原画・監修ルイ・フランセン
場所JR東海 浜松駅北口駅前地下広場 マップ
設置時期1983年12月
種類陶板レリーフアルミキャストガラス
サイズ縦3.4m × 横28.4m
キーワード浜松 
企画浜松市 (設計:修景施設計画委員会)、日本交通文化協会
製作クレアーレ熱海ゆがわら工房、クレアーレ信楽工房
ニュース

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