

TOP パブリックアート事業
作品紹介
川の祭り
陶板レリーフ「川の祭り」 原画・監修:岡田又三郎
JR大宮駅 新幹線コンコース(南方)壁面 1983年1月完成 原画を見る
岡田又三郎洋画家 今回の大宮陶板レリーフ壁画の下絵製作にあたって一番苦労したのは主題であった。何を描けば埼玉県の為に良いのかという事であった。私も10年間ほど浦和に住んで居た事があり、その間埼玉県の景勝の地を訪ねた事があったので、その印象の中からは先ず長瀞の風景であった。水成岩の奇岩はすばらしい量感を持って見るものに迫り、長瀞の清流は限りないやすらぎを人々に与えるのではなかろうかと思った。それで私の心に浮かんだのは長瀞の水浴の構図で、「川の祭り」と題し左右水浴の男女を配し遠くに秩父連邦を望み全景は夏の花の咲き乱れる川面と草原を配した。造形家のルイ・フランセン先生とは十数年以前からよくその御人柄や作風を存じ上げて居た。私はヨーロッパの芸術家の正確というものを知悉して居るので、特有なねばりと色感の繊細さを持って特に表現し易い様な作柄となった次第である。カラー写真での感想であるが、豪快な構図、流れる色彩のハーモニーは素晴らしく、私が一番望んで居た以上の出来栄えで、心から嬉しく思った。大宮駅に私とルイ先生の合作になる豪華絢爛な陶板のタピストリーが永久に残ることは嬉しいことである。(1983年 パンフレットより)
ルイ・フランセンパブリックアート作家(壁画、ステンドグラスなど)造形の立場から
原画の油絵の持ち味をやきものの世界にどのように再現するか、これが私の最大の悩みでした。油絵のマチエールは釉薬とまったく異質のものであり、遠近法もまた油絵における独特の手法でありますので、そのまま壁画に写したのでは岡田先生の意にそぐわぬ厚みのない作品になるおそれがありました。考えあぐねた末、私は思いきってコンピューターを使って色分析をおこない、マスキングによって色の濃淡を出すことにしました。従来のようにかたちに頼るのでなく、色の濃淡による造形です。その結果、近くで見るとオブジェとしての効果、遠くで見ると絵として楽しめるような“やきもののタピストリー”ができあがりました。この大胆な試みが成功することを信じています。(1983年 パンフレットより)
美術評論家
田近憲三
東北・上越新幹線の開通によって、全国の脚光をあびた大宮駅は、新装をこらした構内に、岡田又三郎氏の大壁画「川の祭り」を飾るということである。作品は縦4mに横が10m、原画をコンピューターで分析して、多くの色数に分け、色彩を陶板に直して組み立てるというもので、しかも壁面は平らではなく、浮彫式に起伏をつけるというから、原図以上の迫力が出ることは受合いで、それには外国人の専門家があたることになっている。
作品は長瀞の川を描いている。画面は眺望をなして遠くには秩父の山が連なっている。そしてその日は川の祭りの日であって、川の神々が参加をした。川面は騒いで、左にはニンフのように水の精が横たわれば、右端には水をしたたらせながら水神が現れて、いつもは静かなその川に時ならぬ賑わしさが出現した。水のおもては花を飾り、水にみだれて花はいよいよ華やかに、川には明るさが満ちわたり、空も紅を刷いて川の歓びに相応じた。
岡田又三郎氏は、早くから画壇で最も重要視される藝術印象を受けた画家で、日展の重鎮として知られている。渡欧の数も多く、フランスのスペイン国境よりで描いた風景画は、豪快に山地を描き、現代と中世が溶けあう雰囲気から画壇を驚かしたものであった。現在は人物画に集中をしているが、描写は快刀で切るように、この人ほど颯爽を感じさせる画家はない。
その壁画は大宮駅を明るくすることだろう。帝都の新しい玄関口にこれほどふさわしい画面もなく、旅ゆく人は仰ぎみてさらに一層の活力を覚え、変える人は疲れを洗われて歓びに入るのではないだろうか。(1983年 記念パンフレットより)
埼玉県知事
畑 和
東北新幹線・上越新幹線の開業を記念して陶板大壁画が新装大宮駅に完成しました。心からお嫌い申し上げます。東北・上越方面はもとより、埼玉中枢都市圏の交通のかなめとなる大宮駅に、文化的シンボルとしての芸術作品が設置されましたことは、行政の文化化を推進している私にとりましても、喜ばしいことであります。
原画は岡田又三郎画伯の手になるもので、緑と清流を背景に健やかな男女が描かれており、聞くところによれば埼玉県の明るく楽しい未来を象徴しているとのことです。この力感あふれる原画を基に、東京芸大のルイ・フランセン先生が陶板への造形を手がけられ、ここに半永久的な壁画が誕生しました。希望にあふれた大宮駅にふさわしい大作と信じます。
わが国における鉄道の駅は、きわめて公共色の強い重要な役割を演じています。いわば公共広場ともいえる駅コンコースに、地域の文化を生かした香り高い芸術が多方面の御協力により実現したことを心から喜びたいと思います。これを機会に、広く県民の皆さまの間に、文化の香り高い郷土づくりに向けた、地域文化創造のための大きな輪が広がることを期待します。(1983年 パンフレットより)
ステンドグラス
1982年 6月
JR東日本 大宮駅
「光と水と生命」 (86m)
MAP >
ステンレスモニュメント
1985年 10月
JR東日本 大宮駅
「行きかう・線(まめの木)」 (108m)
MAP >