JR東日本 長岡駅「長岡今昔」
ながおかこんじゃく
陶板レリーフ

陶板レリーフ「長岡今昔」 原画・造形:ルイ・フランセン
JR東日本 長岡駅 大手口 1982年4月完成

作家より

ルイ・フランセンパブリックアート作家(壁画、ステンドグラスなど)私が長岡の名を耳にしたのは、今回が初めてではありません。10年程前、ある著名なベルギー人画家に逢ったとき、かれの作品が長岡現代美術館に収められることになったと話していたことがありました。かれの作品を選ぶということは相当に文化レベルが高いだろうと予想していましたが、期待に違わず、長岡は文化の何たるかを知っているすばらしい街でした。そうでなければ、駅の室内装飾に長岡城の伝統的な模様を用いるなどという卓抜なアイデアも、最初から建築と融合するかたちで壁画づくりをすすめるという壁画に対する深い理解も生まれなかったでしょう。
私は、地元の皆さまの熱意と期待に見守られながらこの壁画づくりを進められたことに大変喜びを感じています。また、北陸の人びとと私たち北欧の人間のあいだに、やさしさと力強さという共通の心情があることもうれしい発見でした。作品全体にそういう力強さをできるだけ表現したつもりです。また、壁画に合うおちついた色彩で統一できたことも大成功でした。画面の右から左に向って、過去から現在、未来の長岡を表わしていますが、幅のひろい大規模な壁画ならではの、移動しながら見る効果がよく出せたと思います。最初、壁画の前の柱が邪魔になるのではないかと心配だったのですが、出来あがってみると、それが映画撮影に使われる移動車に似たおもしろい演出になりました。本物の壁画と呼ぶにふさわしい作品ができたと信じています。

制作ノート

地域色あふれる題材を入念に選択し、それらを力強く構成し未来へと向かう街を表した。
小林虎三郎「米百俵」に代表される北陸の人々の不屈の精神と未来を見つめる心、信濃川と正三尺玉花火、火焔土器。これらの題材は構想段階の初期には一つの画面として描いていた。しかし25メートルという長い壁画と広い駅コンコースを考え再構成した。長岡の人々の力強さと、大きな花火、未来への街づくりの心意気をできるだけ表現するため造形を三つの塊に分割し、構成した。駅中を歩きながら、色々な角度から見る人びとに、はっきりと構図の見える陶板レリーフ作品である。

作品によせて

東京芸術大学美術学部長、建築家・工学博士
清家清
上越長岡駅にすばらしい陶板レリーフが完成しました。全国の駅に数多くの公共壁画を推進している(財)日本交通文化協会が手がけたもので、この度の長岡の壁画はそのなかでも特に秀れた作品であると思います。壁画に限らず、美術品、建築を含めての文化的な所産というものは力量のある作家とその作品の理解者―スポンサーの協力が必要で、今回の国鉄当局の並々ならぬ御理解がこの作品の完成度を高める要因になっていると思います。
作者のルイ・フランセン氏は東京芸術大学へ壁画を教えに来てくれているベルギー人で、教会堂の大きなステインドグラスのデザインでは世界的に有名な芸術家です。ステインドグラスと陶板では材質からして大層ちがうように見えますが、同じ窯業の製品で、絵付けの方法なども似たところがあります。日本でステインドグラスをこしらえるのは技術がまだ不十分ですが、フランセン先生は完成された日本の伝統的な陶磁器の技術に魅せられてヨーロッパのステインドグラスと日本の陶磁器の技術を結びつけました。地域色あふれるモチーフ(題材)が入念に採択されたことも、壁画家ルイ・フランセン氏の才覚を物語っています。
陶板レリーフ「長岡今昔」は、駅という機能に人間を結びつけるアートを付加したことで、文化的に深い意義があり、それが地元の熱い要請によるものであることは将来の公共芸術に明るい材料を提供してくれます。新幹線開業がきっかけで壁画づくりが実現したということであれば、鉄道がベルギーの芸術を運んできたということになるのでしょうか。

建設局局長 (前・新潟鉄道管理局長)
岡田宏
長岡市民の永年の夢であった上越新幹線の開通を今秋に控え、全国有数のマンモス駅となった長岡駅に、この度色彩豊かな大陶板レリーフが完成いたしました。長岡名物の三尺玉花火や火焔土器、米百俵などをモチーフにした壮大な作品で、「長岡今昔」と題されていますが、まことに長岡市のシンボルにふさわしい力作であると喜んでおります。壁画設置のきっかけとなりましたのは、せっかくの新装長岡駅を、ただ巨大さだけを売物にするのではなく、市民とお客さまから親しんでいただける文化的な香りのする空間にしたいという国鉄工事局はじめ私どもの願いを、財団法人日本交通文化協会の皆さまの熱意、努力によって実現したものでございます。日本交通文化協会は壁画づくりにかけては日本一の実績とノウハウをもつ団体で、本作品も東京芸大のルイ・フランセン先生の制作による躍動感あふれるものになっています。先生は長岡に何度も足を運んでくださり、私どもの期待にたがわぬ素晴らしい作品を制作してくださいました。この度の壁画実現にご理解、ご協力いただきました皆さまに心より御礼申しあげます。

作品データ

原画・造形ルイ・フランセン 企画日本国有鉄道信濃川工事局、日本交通文化協会
場所JR東日本 長岡駅 大手口 マップ 製作クレアーレ熱海ゆがわら工房、クレアーレ信楽工房
設置時期1982年 4月 ニュース
種類陶板レリーフ
サイズ縦3.8m × 横25.0m(全長)
キーワード長岡、信濃川、正三尺玉花火、火焔土器

作品データ

原画・造形ルイ・フランセン
場所JR東日本 長岡駅 大手口 マップ
設置時期1982年4月
種類陶板レリーフ
サイズ縦3.8m × 横25.0m(全長)
キーワード長岡、信濃川、正三尺玉花火、火焔土器
企画日本国有鉄道信濃川工事局、日本交通文化協会
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