JR東日本 横浜駅「太陽とこども」
たいようとこども
陶板レリーフ

陶板レリーフ「太陽とこども」 原画・制作:利根山光人
横浜駅東西自由通路西口 1982年4月完成 2020年5月、JR横浜駅地下1F相鉄線連絡通路へ一部を移設展示 原画を見る

制作風景

作家より

利根山光人美術家、画家 ミナト横浜の歴史はつねに新しい風をとり入れ未来に向ってひらかれてきました。そしていままた東西を結ぶ大地下道によって横浜駅は新しく変身しようとしています。駅頭に立って人の流れを見ているとその活力は目をみはるばかりです。私は最初壁画の構想に山手地区と港湾地区とからなる横浜の魅力にこだわりました。そして何度も足を運び乍ら下絵を描き変えましたが時間ばかりが徒らに過ぎていきました。私のためらいはハマっ子の大先輩の一言で払底されました。「横浜は昔から新し物好きで前向きの街なはずです。横浜といふとすぐ懐古趣味に走りがちだが壁画をつくるなら是非これからの横浜、若い人達に愛される横浜を描いてくれ」。
 壁画の構成は明るい未来の横浜に想いを馳せ乍ら三つのテーマによって複合されています。
 まず中央には輝く太陽と月のシンボル。右手には世界にひらかれた船と星座と羅針盤などを配し、左手のメーンには母子像を配しました。子供は未来のシンボルです。今後いかに、未来都市そして宇宙空間と、時代が変貌しようとも、母と子の原形は人間生活の基本です。肩の上の子供は右手を母親の顔に左手を思いきり上に向って手をのばしています。母子像のかげにはパレットをもった男の像を配して更に母子像をつよめることにしました。
 陶板レリーフは信楽の土と火と釉薬で制作されました。多年にわたる(財)日本交通文化協会のパブリックスペースへの情熱に応えるべく何回となく試行錯誤を繰り返しながらどうやら初期の目的の明るくモダンな感じにもってゆくことができました。母子像は信楽焼の特色である焔色を生かすことにしました。制作に当り京成上野駅コンコースの陶板制作中のため来日中のルイス・ニシザワ氏、現代壁画研究所所長ルイ・フランセン氏、陶芸家雲雀民雄氏等との現地信楽での交流、アドバイスを始め、現代壁画研究所スタッフの懇切な御協力を得ましたことをここに厚く御礼申上げます。横浜駅の朝のさわやかさと未来の希望への一灯ともなれば幸いです。

作品によせて

美術評論家
河北倫明
 このたび、横浜駅の東西自由通路西口に、利根山光人さんの陶板壁画が完成、新しくお目みえすることになった。さきに誕生した東口の井手宣通さんのそれにつづいて、横浜駅に迫力ある名物が出現したことを喜びたい。
 利根山さんは1921年の東京生まれで、1943年早稲田大学文学部を卒業した人だから、いわゆる一般の画家とは一味ちがった存在である。ことに1972年にはメキシコ政府からアギラ・アステカ文化勲章を贈られており、わが国におけるメキシコ文化の紹介、普及、再評価のために尽力した業績は顕著だ。『マヤ』とか『古代メキシコ 拓本集』、あるいは『メキシコの民芸』とか『メキシコ曼荼羅』といった著作があるし、かつて独自に採集した壮大なマヤ拓本は、国立近代美術館等で公表され、大いに注目を惹いたこともある。
 その利根山さんが、メキシコでさかんな壁画運動の理解者、共感者として、わが国における壁画芸術の推進に努めていることも知られている。松戸市の聖徳学園のあらゆる建物にも才腕を振っているし、新幹線北上駅にも陶壁画「鬼剣舞と鹿踊」の傑作を完成した。壁画は、いわば袋小路に入った観のある現代絵画に対して、開かれた公共舞台への一つの有力な通路を提示するものであるが、利根山さんはこうした力づよい任務を果す格好の作者であろう。
 今回の画面は、4米に15米という巨大なもので、メキシコ流の壮大な動勢感をのせながら、左に母子像、中央に太陽、右に世界地図という明るい未来をのぞむ構想を取っている。その間には、マドロスが歩き、原子力が指示され、洋館や密柑や子供が配され、また海を連想させる鷗、帆船、羅針盤、北斗七星なども描きこまれている。いま明日の新都市を目ざして動きつつある横浜の希望と活力を表象しようとしたのであろう。いかにも利根山さんらしい仕事である。

国鉄横浜駅 駅長
渡辺啓助
 横浜市民の念願であり、また私ども横浜駅に携わる者の”夢”であった東西自由通路が完成いたしました。これひとつでも大変な喜びであるうえに、この度はその完成記念として、まことにすばらしい大きな壁画ができあがり、名実ともに「横浜駅は変わった」という感慨を禁じえません。わが国の壁画界の第一人者 利根山光人先生が情熱的に取り組まれた作品と伺っておりますが、何か未来のヨコハマを象徴するような明るさと楽しさに満ち満ちており、第2のスタートを切った我らが駅にふさわしい作品と非常にうれしく思っております。遠くからでもすぐめだつ力作であるゆえに、旅客のかたがたや小中学校の美術見学に利用していただければと期待で胸がふくらむ思いです。工事中は何かとご不便をおかけしましたが、これでせめてものお返しになればと存じます。作家の利根山光人先生、企画者の財団法人日本交通文化協会、協賛者の高島屋はじめ多くのご協力者の皆さまに対し、駅を代表して心から御礼申しあげます。

作品データ

原画・制作利根山光人 企画日本交通文化協会
場所JR東日本 横浜駅 地下1F相鉄線連絡通路 マップ ニュース
設置時期1982年 4月
種類陶板レリーフ
サイズ縦4.0m×横15.0m(全長)
キーワード太陽、月、船、星座、羅針盤、母子

作品データ

原画・制作利根山光人
場所JR東日本 横浜駅 地下1F相鉄線連絡通路 マップ
設置時期1982年4月
種類陶板レリーフ
サイズ縦4.0m×横15.0m(全長)
キーワード太陽、月、船、星座、羅針盤、母子
企画日本交通文化協会
ニュース

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