国際瀧冨士美術賞第27期受賞者で彫刻家として活躍
10月にJR上野駅でパブリックアート普及活動特別展として展示されます
第70回「交通総合文化展2023」(10月20日~10月25日)に併設のパブリックアート普及活動特別展の招待作家として、国際瀧冨士美術賞の第27期(2006年)受賞者で彫刻家の本郷芳哉(ほんごう よしや)さんをお迎えすることになりました。
本郷さんはこれまで主に金属で彫刻作品を制作してきましたが、今回、初めてステンドグラスと石材を組み合わせた制作に挑戦し、作品『Inside-Outside』を出品します。
本郷さんは、2023年3月に「クレアーレ熱海ゆがわら工房」(静岡県熱海市泉)で、工房のスタッフからパブリックアートで用いられるアンティークガラスの素材の特性や表現に関する詳しいレクチャーを受け、作品の構造や展示方法のプランニングを検討し、10月の作品発表に向けて制作を行っています。


本郷芳哉さんは1982年千葉生まれ。沖縄県立芸術大学美術工芸学科彫刻専攻に進学。同大学では金属を中心にした彫刻の制作を続け、2006年に国際瀧冨士美術賞の優秀賞を受賞しました。
学部卒業後は東京藝術大学大学院に進学、2009年に美術研究科彫刻専攻を修了。現在は大学の非常勤講師や、日本国内・海外での展覧会やビエンナーレでの発表でキャリアを重ね、商業施設や公共空間でのコミッションワークも多く手掛けています。
本郷さんはこれまで、空間の中にある目に見えない境界や存在を顕現させる表現を、彫刻を通して捉え、作品の発表を続けています。
素材に対して、叩く・彫る・溶接する・割る・溶かすなどの、身体を通した直接的な行為とその痕跡によって形作られた作品は、これまで金属を主な素材としながらも、展示空間や制作環境、企画に応じて、土や石、植物などの様々な素材を用いることも多く、多彩な表現と向き合ってきました。
今回発表予定の作品タイトルは『Inside-Outside』。ステンドグラス自体を素材として捉え、教会建築における“窓”の存在や役割、西洋におけるステンドグラスが持つ様式や歴史性から着想を得た作品を制作します。
作家自身の手によってガラスを石で穿ち、一面に広がるひび割れの痕跡を大胆に用い、工房とのコラボレーションを経てステンドグラスとして新たに再構成する本作品。内と外を隔てる境界を割るという行為によって、その向こう側の世界を想起させる、本郷さんの新たな視点によるパブリックアートを、ぜひ多くの方にご覧いただけたらと思います。


第70回「交通総合文化展2023」は10月20日から10月25日までJR上野駅中央改札口外グランドコンコース特設会場で開催されます。国際瀧冨士美術賞の受賞者を交通総合文化展のパブリックアート普及活動特別展に招待するようになったのは2017年からで、この年は瀧冨士美術賞(現在の国際瀧冨士美術賞)の第1期(1980年)受賞者の彫刻家・青木野枝さんでした。本郷芳哉さんは招待作家としては7人目となります。