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TOP 矢印 ニュース: 日本交通文化協会の滝久雄理事長が文化功労者に

 公益財団法人日本交通文化協会の理事長、滝久雄が文化功労者に10月27日選ばれました。日本の食文化の振興と、文化芸術への長年の貢献が認められたものです。

 日本の食文化の振興では、飲食店検索サイト「ぐるなび」を通じたさまざまな活動が挙げられますが、当協会に関係した文化芸術への貢献でいうと、パブリックアートの普及振興が選定の一つの理由に挙げられました。パブリックアートが文化功労者の選定理由となったのはこれが初めてです。この言葉がまだ十分に日本社会に浸透していない今日、受賞は「パブリックアート」という言葉をより広く人々に知ってもらういい機会になるのではないかと当協会も喜んでおります。

 滝理事長は1972年に東京駅にパブリックアートの第一号を設置しました。福沢一郎画伯の原画と監修によるステンドグラス作品「天地創造」 でした。人々が行き交い、集う、駅や空港、公園、学校などの公共空間にアートを設置することで、人の心を和ませ、元気づけ、癒しを与える空間を創出し、またそれによって文化芸術が、無関心だった人にも身近なものになってほしいとの思いが滝理事長にはありました。こうして今年10月末までの48年間に、日本全国に設置したパブリックアートは545作品を数え、1年あたり約11作品になる計算です。

 それ以外の文化芸術支援では、今年41年目となった国際瀧冨士美術賞があります。日本と外国の美術大学の4年生を対象とした賞で、この種の賞では最も歴史のあるものです。賞金である奨学金の給付総額は約2億3000万円超に上り、受賞者総数は800人になります。

 JR上野駅で毎年行っている交通総合文化展は10月26日に終了したばかりですが、今年は67回目となります。内容を変えながら続いてきましたが、文化を身近なものにしたいという思いは一貫しています。

 滝理事長がいま力を注ぐのは「1%フォー・アート」の法制化です。公共工事費の一部(国によって1%~0.5%などさまざまです)をアートに割くこの制度は、欧米では長年、文化芸術振興の大きな推進力となってきました。アジアでは韓国と台湾が取り入れています。欧米では文化が重要な輸出産業となっており、韓国でも韓流ポップ文化が多くの国を席巻していますが、これは「1%フォー・アート」を抜きにしては語れません。経済第一主義・成長優先主義が行き詰る中で、日本社会の停滞を打破するのは文化芸術にあるというのが滝理事長の持論です。その際、カギとなるのが「1%フォー・アート」で、これが文化芸術を産業として育てる力になると見ています。文化功労者に選ばれたのを機に、「1%フォー・アート」の法制化実現に力を注いでいきたいと抱負を語っています。

◇滝理事長の主な受賞歴

1999年12月 交通文化賞(運輸大臣表彰)
2003年10月 東京都功労者賞
2008年12月 社団法人日本広告業協会功労賞「経済産業大臣賞」
2010年6月 「情報通信月間」総務大臣表彰
2016年3月 大倉喜七郎賞(ペア碁を通した囲碁の国際化などの業績に対して)
2018年5月 第53回吉田秀雄記念賞
2019年3月 文化庁長官表彰(パブリックアート等の文化芸術振興の寄与に対して)

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