内外21名の美大生が受賞、世界6カ国から参集
グランプリに東京藝術大学の臼田貴斗さん
国際グランプリに仏パリ国立高等美術学校のランダ・マッダさん
11月6日、第39期国際瀧冨士美術賞の授賞式が東京港区の国際文化会館で開かれました。
午後5時から始まった授賞式では、主催者を代表して当協会の滝久雄理事長が「賞が創設されてこの39年間の受賞者は750人を超えました」「ぜひこの機会に学校や国籍を超えて互いに交流し、 創作活動に生かしていって欲しいと思います」とあいさつしました。
来賓を代表して東京藝術大学の名誉教授の立場で出席した文化庁長官の宮田亮平先生が「すばらしい賞をおめでとう」と受賞者を激励。続いて受賞者が一人ずつ演壇に呼ばれ、滝理事長から賞状と賞金を受け取りました。
今年は優秀賞に日本の美大生11名、海外の美大生6名が選ばれ、この中からグランプリは東京藝大の臼田 貴斗さん、国際グランプリはパリ国立高等美術学校のランダ・マッダさんに授与されました。また優秀賞に次ぐ審査員特別賞には日本から2名(東京芸大、愛知県立芸大)、海外から2名(独ベルリン芸術大学、パリ国立高等美術学校)が決まりました。
式の最後に本賞の審査員で、瀧冨士美術賞(当時)の第1期受賞者である彫刻家の青木野枝さんがあいさつし、39年間、賞が若い学生に励ましを与えてきたことを高く評価すると共に、「審査員として若い人の作品を見るのがとても楽しく、心がドキドキしました」と語りました。とくに現在イスラエルが占領しているシリア・ゴラン高原の出身で国際グランプリを受賞したランダ・マッダさんの「自分の生まれた場所のアイデンティティーと政治的現実と複雑な政治的要因をグローバルな言語である芸術で説明する」という言葉を引きながら、「この言葉に大変感動しました」と述べました。
授賞式に引き続く懇親会のオープニング・イベントでは、世界的なバイオリニストの東京藝大の澤和樹学長と、奥様でやはり著名なピアニストの蓼沼恵美子さまが、素晴らしい合奏を披露してくださいました。
3時間近い懇親会では、内外の受賞者や教官が交流し、学生たちは教官から制作について参考になる多くのアドバイスを受けていました。また学生一人ひとりが入選作の映像を前に制作のコンセプトや将来への抱負を語り、温かい拍手を浴びました。最後の締めの言葉で、東京藝大日比野克彦教授は「賞は来年40回を迎えることになり、次のステップになるような企画を考えてほしい」と賞にエールを送りました。
なお授賞式の前日、内外の受賞者と指導教官が「クレアーレ熱海ゆがわら工房」(静岡県熱海市)を見学し、工房のスタッフから陶板とステンドグラスのパブリックアートがどのように作られるか説明を受けました。このあと一行は実際に陶板とステンドグラスを使ったワークショップで作品を造り、これは懇親会場に飾られました。