8カ国25大学から選ばれし21人の美大生が
一堂に会しました
11月8日~9日の2日間にわたり、第37期 国際瀧冨士美術賞※の
受賞者招待イベントが行われました
※ 国際瀧冨士美術賞とは:
パブリックアートの振興と、そのための人材育成を目的に、将来が嘱望される日本と外国の美術系大学の学生に奨学金を給付しています。現在、国内13、外国12の美術系大学が対象で、外国はアジア、米国、欧州にわたっています。奨学金は年間30万円。過去37年間で国内外あわせて延べ714人に対し、総額2億円以上の奨学金を給付しています。(詳しくはこちら)
工房見学およびワークショップ(1日目)




この日、朝9時に宿泊先の都内ホテルロビーに集合したのは内外の美大生18人と指導教官8人。協会のスタッフを含め約30人が貸し切りバスに乗り込みました。目指すは東京から約100㌔のパブリックアート制作拠点「クレアーレ熱海ゆがわら工房」。曇間からのぞく富士山や荒波が洗う太平洋の風景を楽しみながら約2時間、渓谷へとバスは入っていきます。工房の所在地は静岡県熱海市ですが、川を挟んだ対岸は湯河原町。木々が重なり合う山間に建築家・隈研吾氏が設計した工房が佇みます。
到着すると、工房の責任者から工房の全体像と歴史を、ビデオを見ながら説明を受けました。そしてお待ちかねのランチタイム。思い思いに敷地内のベンチや木陰に陣取り、お弁当をいただきます。サンドイッチも用意しましたが、外国の人たちも全員が幕の内弁当を選びました。受賞者の美大生たちは国内・海外とも今回初めて顔を合わせる人ばかりですが、開放的な雰囲気の中で少しずつ会話がはずんでいきます。
昼食後は工房見学。ステンドグラスや陶板レリーフなどのパブリックアート作品がどのようにして作られるか、現物に触れながら学んでいきます。実際に特別の器具でステンドグラスを切ってみる体験もしました。ドイツからきた美大生は「ヨーロッパではステンドグラスは教会など古い建物でしか使われていませんが、日本では現代アートに使っていることに驚きました。日本の方がヨーロッパの伝統のステンドグラスを活かしているように思います」とスタッフに感想を漏らしましたが、国内外から高く評価される工房の技術に美大生たちも目を見張っていました。
続いてのプログラムは、隣接する多目的施設「クレアーレアート館」に移動してのワークショップ。色とりどりのガラスと陶板のピースを組み合わせ、手帳大のプレート上で作品を完成させます。ワークショップとはいえ、作業を始めると皆さんアーティストの顔に変貌。1時間後には個性あふれる18の作品が完成しました。
授賞式および懇親パーティー(2日目)






日が傾く頃、前日とはうって変わってフォーマルな衣装に身を包んだ受賞生たちが会場の八芳園へ。日本庭園を抜けて「白鳳館」に到着すると、まずは古式にのっとった日本茶によるお出迎え。開会を待つ間も、すっかり打ち解けあった受賞生同士の賑やかな話し声で、場内は熱気に溢れてきます。
午後5時、授賞式がスタート。5カ国語の同時通訳環境のもと、まずは主催者である当協会代表理事の滝久雄より、将来のアート界での活躍に期待していると受賞生にエールが送られ、続いて来賓の東京藝術大学学長の澤和樹先生、東日本旅客鉄道株式会社常務取締役の日野正夫様からそれぞれ祝辞が述べられた後、受賞者一人ひとりの名前が呼ばれ、壇上で賞状と奨学金が手渡されます。受賞者の皆さんはもちろんのこと、横で見守る指導教官の方々の誇らしげな様子が印象的でした。式の後半には、東京藝術大学前学長・名誉教授の宮田亮平先生もかけつけられました。








授賞式の後は懇親パーティーに移り、オープニングに世界的なバイオリニストでもある澤先生と教え子の東京藝大生による弦楽演奏が披露され、華やかさと賑わいに包まれた会場のテンションが一気に高まりました。宮田先生のユーモア溢れたご挨拶、そして日本藝術院会員・洋画家の大津英敏先生による乾杯が終わると、会場のあちらこちらに歓談の輪ができました。美術賞の審査員の方は受賞者たちにアート制作についてアドバイスし、内外の大学の指導教官同士、コンタクトを約束するなど、さまざまな交流が生まれました。パーティーの後半、受賞者一人ひとりが自分の作品のプレゼンテーションを行ないました。作品を構想した背景や、そこに込めたメッセージなど、溢れるばかりの思いが伝わってきて、出席者たちも会話を中断して聞き入っていました。グランプリおよび国際グランプリの受賞者については、指導教官の先生からもお話いただきましたが、受賞者以上に喜んでいるように見えたのが印象的でした。
会の締めくくりは、恒例行事となった、日本美術家連盟理事・彫刻家の大成浩先生による中締めのご挨拶と、宮田先生の出席者を巻き込んだ四股踏みと一本締めのパフォーマンス。会場の一体感が最高に高まったところでお開きとなりました。受賞者の皆様、今後のご活躍を心よりお祈りしております!