松山空港「蜜柑 ミカン みかん」
みかん みかん みかん
ステンドグラス

ステンドグラス「蜜柑 ミカン みかん」 原画・監修:田窪恭治
松山空港ターミナルビル国内線到着ロビー中央 2013年11月18日完成 ※この作品は、宝くじの社会貢献広報事業として助成を受け整備されたものです。 原画を見る

制作風景

作家より

田窪恭治美術家・多摩美術大学客員教授 私は愛媛県今治市で生まれました。 松山市の番町幼稚園、そして番町小学校に入学し、銀行員だった父の都合で県内あちこち転々として宇和島市立宇和津小学校を卒業しました。 その後、多摩美術大学に進み画家になり東京で20 年余り美術家活動を 続けたあと、フランスで11 年、帰国後香川で11 年と、時間をかけて日常の風景や建築物を表現の対象として制作を続けてきました。
 私はこれまで作家として自分自身の感性を何よりも信じて生きてきました。 昨年、松山で個展をしたり、愛媛県美術館で私の所蔵作品の展覧会があったり、また NHK の「課外授業ようこそ先輩」という番組の出演依頼を受け、宇和津小学校でロケをしたりと、何度も愛媛県を訪れるうちに、その私の感性を育んでくれた場所が愛媛の風景だということに気がつきました。
 なかでも一番印象に残っている風景は青い空、美しい海を見下ろす段々畑に植えられているみかんのイメージです。 このイメージを私の作品として残したいものだと思っていたところ、今回、松山空港のステンドグラス制作のお話をいただき、私の中で強くイメージしていた愛媛県の空と海とみかんを、愛媛の太陽の光を通した硝子の色や形で表現しました。
 美術における社会性を目指し、建築物のデザインや陶板壁画、古い礼拝堂の再生等々、特定の場所にある独特の風景の中で表現行為を続けて来た私は、以前からステンドグラスの制作を一度やってみたいと思っていましたので、毎回、本当に楽しく仕事をさせていただきました。
 半年に渡る制作中、湯河原のクレアーレ工房のマイスター、技術の高い職人さん達と仕事が出来たのは私にとって幸運なことでした。どんどん湧き出てくる私のイメージを様々な実験を繰り返しながら作品に反映していただいた工房の皆様には大変感謝しております。
 このステンドグラス作品が松山空港の新しい懐かしい風景として長く松山空港を利用される皆様に親しんでいただけたらと思っております。

制作ノート

 松山空港のステンドグラスは、美術家・田窪恭治先生の監修のもと、日本交通文化協会で企画され、「クレアーレ熱海ゆがわら工房」で制作されました。
 ことし春、工房では田窪先生ご自身が、釣竿の先に固定されたコンテで実物大(よこ約7m×たて約4m)の原画を描かれたことから制作がはじまりました。この巨大な原画がそのまま原寸大の型紙となりました。通常は、この原画を元にして工房のスタッフがほとんどの作業を進めますが、この作品では田窪先生が完成イメージに合わせたガラス作りを行い、フュージング技法と呼ばれる複雑なプロセスでは、2層・3層にガラスを重ねたり、フリットと呼ばれるガラスの粉を散らして独特の色と質感が表現されました。その後、田窪先生の感性が見事に表現された重厚なガラスピースの上にステンドグラスの語源となった「ステイン」という絵付け作業を施し、田窪先生のトレードマークとなった”釣り竿”の先の絵筆を使い、ガラス用の顔料で描画を行いました。
 素材となったガラスには、一枚ごとに手作りのドイツ・ランベルツ社製アンティークグラスとアメリカ・スペクトラム社製のガラスが使われ、作品全体は約3000のガラスピースを組み合わせて完成しました。

作品によせて

愛媛県知事
中村時広
 このたび、公益財団法人日本交通文化協会ならびに財団法人日本宝くじ協会のご協力により、松山空港ターミナルビル1階に、本県出身の美術家である田窪恭治先生のステンドグラス作品「蜜柑 ミカン みかん」が設置されることとなりました。
 まずは、「かんきつ王国愛媛」の空の玄関口にふさわしいシンボルとして、色彩豊かなみかんを描いたステンドグラスの制作・設置にご尽力いただきました、田窪先生をはじめ関係者の皆様方に対しまして、深く敬意と感謝の意を表します。
 現在、本県におきましては「愛のくに 愛顔(えがお)あふれる愛媛県」の実現を目指し、県民の皆様の前向きな気持ちと思いやりの心が結集した「愛顔」の輪を広げ、愛媛ならではの幸せを創ることに全力で取り組んでおり、松山空港においても、利用される方々に「愛顔」になっていただける環境整備を積極的に進めてるところです。
 こうした中、愛媛を代表する特産品のみかんが、画面いっぱいに描かれた迫力ある本作品の設置によって、松山空港に、瀬戸内の太陽の光を受けて心はずませる魅力的な空間が演出されることはもとより、訪れた人々に愛媛のイメージをより強く印象づけていただけるものと、大いに期待しております。
 終わりに、このステンドグラス作品がたくさんの方々に愛され、松山空港がますますにぎわい、利用促進につながりますよう祈念申し上げます。

公益財団法人日本交通文化協会 理事長
滝久雄
 公益財団法人日本交通文化協会は、1948年の設立以来、芸術・文化の振興のために積極的な活動を展開しており、展覧会事業「交通総合文化展」、育英事業「瀧冨士基金」「国際瀧冨士美術賞」とともに、重要な事業として位置づけているのがパブリックアートの普及・振興事業です。
 その取り組みの基本になっているのは、ハーバート・リードがその著書『芸術の意味』の中に残した次の一文です。「今、我々に欠けているのは芸術家ではない。無意識的に芸術的な大衆である」。私たちは、公共の空間に設置されるアートが、無意識的に芸術に触れられるゆとりや潤いのある社会の実現の一助になればと、そういう願いのもと事業を続けています。
 このパブリックアート事業を本格的に開始して35年が経ち、松山空港に完成したステンドグラスの本作品が499点目となり、2014年2月には福島空港に500点目の作品を設置する予定になっています。今回の作品に、そして500もの作品の実現にご協力いただいた皆様に改めて感謝するとともに、今後のわが国のパブリックアートの普及に変わらぬご理解とご協力をお願いいたします。

愛媛県美術館 主任学芸員
杉山はるか
 フランスのノルマンディー地方にあるサン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂――その屋根の一部には擦りガラスの瓦が取り付けられ、虹色に輝く瓦を透して差し込む光が美しく礼拝堂の内部を照らします。
 田窪恭治は現地に移住し、廃墟と化していた古いその礼拝堂を再生すべく、下準備も含め1987年から10年以上もの歳月をかけてこの大掛かりなプロジェクトに取り組みました。同地方の特産物である林檎をその内壁に描き、礼拝堂は現在「林檎の礼拝堂」として現地の人々にも親しまれています。
 帰国後に取り組んだのが、金刀比羅宮の文化顧問としての「琴平山再生計画」でした。折しも2004年に「平成の大遷座祭」を迎え、生まれ変わろうとしていた「こんぴらさん」の新たな門出を多角的に演出したのです。この時期に竣工した、社務所や、参集所などを備えた緑黛殿、新茶所・神椿などの新しい空間は、古から歴史を刻んできた場所に自然に溶け込み、なお且つ新しい風を吹き込みました。また、自ら白書院(椿書院)の襖にオイルパステルでヤブツバキを描くとともに、神椿の壁面を飾る有田焼の磁器板をも制作しています。
 田窪は多摩美術大学在学中から視覚や身体性などに関心が高く、概念的な作品を多く発表してきました。その後、1980年代の廃材に金箔を施した作品群、そして当時のアトリエ正面を廃材で再構築した《日常――時間の層へⅠ》(1987年/愛媛県美術館蔵)、さらに同年の《絶対現場》へと続きます。これは建物の解体の工程を記録し、作品テーマとする実験的な試みでした。このように時間の経過と風景・空間との関連という、田窪のその後の取り組みへとつながっていったのです。
 「風景芸術」――それは、田窪が目指す究極の芸術のかたちです。芸術が、風景とそれを取り巻く人々の生活の中に溶け込み、相互に影響を与え続けること――この松山空港のみかんのステンドグラスも、愛媛の空の下で、きらめいて訪れる人々を迎えることでしょう。

作品データ

原画・監修田窪恭治 企画日本交通文化協会
場所松山空港ターミナルビル 国内線到着ロビー中央 マップ 製作クレアーレ熱海ゆがわら工房
設置時期2013年 11月18日 ニュース
種類ステンドグラス
サイズ幅 6.9m 高さ 4.1m
キーワードみかん

作品データ

原画・監修田窪恭治
場所松山空港ターミナルビル 国内線到着ロビー中央 マップ
設置時期2013年11月18日
種類ステンドグラス
サイズ幅 6.9m 高さ 4.1m
キーワードみかん
企画日本交通文化協会
製作クレアーレ熱海ゆがわら工房
ニュース

マップ

詳細マップ

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