横浜駅「よこはまの詩」
よこはまのうた
陶板レリーフ

陶板レリーフ「よこはまの詩」 原画:井手宣通
横浜駅東口地下街入口正面 1981年6月10日完成 原画を見る

制作風景

作家より

井手宣通洋画家 現代における駅は、単に停車場でなく都市文化の基点となっています。その場所に壁画を、という(財)日本交通文化協会の運動には、すばらしいことだと、共鳴を覚えます。
 横浜の現代・過去・未来の中から画題を求めようと思ったのですが、現代はすぐ未来に連り限りなく発展する横浜の想像図は漠としてつかめませんでした。
 私の胸中にある横浜のロマンは黒船が初めて渡来して騒然たる中に次第に洋式の服装や馬車などが馬車道を走り西洋的文明が定着して横浜から日本の文明開化が始ったことだと思います。
 「ハイカラさん」そんな横浜の原点を誇示したかったのです。
 横浜駅東口の現場を初めて拝見したときは真暗な地下でのスケールの大きさに驚きながら設計図を貰って構想にかかりました。現場の難工事が進んで地下街が豪華な商店街として現れ、想像したより明るいので下絵も修筆しました。
 下絵の造形はルイ・フランセン氏の担当で進められ、雪の中の信楽の工場に見に行きました。一方私はポルタの現場の光線を朝昼夜と見て信楽焼の色彩と考え合わせましたが不安と期待の日が過ぎました。壁画スタッフの方々に、無理を承知で試焼の研究をして貰いました。
 下絵と造形と信楽焼の合作です。
 「ハイカラさん」と云う言葉は一條幸夫前理事長の発言でした。この壁画制作に大いに意欲を燃やして下さったのですが4月初旬に急逝されまして、完成をお目に掛けることが出来ず残念で堪りません。
 日本の文明開化の晴々とした横浜のロマンを信楽焼の東洋的色彩の熔変の味で纒めることがこの作品の希望でした。

作品によせて

財団法人 横浜駅東口開発公社 理事長
津田文吾
『親しみとゆとりのある空間を』

 横浜市民並びに神奈川県民の期待の中で進められてきた横浜駅東口開発事業は、昨年11月地下街ポルタの完成により新たな門出をしましたが、中央階段付近の残工事がこの度完成し、ようやく地下街の全ぼうを現わすことになりました。
 この完成を期を同じくして、中央階段正面壁面に、地下街の顔としての大壁画の完成をみることができました。
この壁画の原画は井手宣通画伯が、造形はルイ・フランセン氏がそれぞれ制作され、(財)日本交通文化協会の協力により実現されました。作品には横浜の玄関(PORTA)にふさわしいモチーフとして開港当時の姿がダイナミックな陶板レリーフで表現されております。この芸術性の香り高い横浜の新しいシンボルは多くの人々から末永く親しまれることを期待しております。
 なお、この度の趣旨にご賛同いただき、芸術性に深い理解を示された協賛各社ならびに関係各位に心から御礼申し上げます。(昭和56年6月)

美術評論家
河北倫明
 例年の日展で、井手宣通さんの絵はいつも華やかに目立っている。それは、お祭りを主題にした絵が多いという理由からだけではない。画風や表現そのものが、にぎやかで、動的で、明るく、奔放なざわめきを伝えてくるからである。
 井手さんは、1912年熊本の生れであるから、明るい動的な南国の気質をおのずからにひそめているだろうことは想像がつく。しかし、それだけではこうした画風は生まれない。やはりその気質の上に基礎的な勉強がなくてはならず、ふさわしいテーマが登場して来なくてはならなかった。
 1933年まだ東京美術学校在学中に「漁夫と子供」という作品で帝展初入選を果した井手さんは、1935年西洋画科を卒業、さらに彫刻科にも学んで1940年に学校を出た。彫刻を学んだことによって、人物を立体的にとらえること、またその動きを確かにつかまえる眼を養ない得たことは大きい。そうした素養が下地となって、やがて日展時代に入って頭角を現したことは、作風を見ると見当がつくであろう。1964年には「葵祭」で文部大臣賞を受け、66年には「千人行列」で日本芸術院賞、69年には芸術院会員となって、日展洋画部を支える重要な存在となった。1977年からは日洋展運営委員長としても活動している。その間にも相馬野馬追をあつかった「旗祭」をはじめ、多くの動きに溢れる華麗な祭り風俗を描いて、ひと目でわかる画風を展開している。
 今回、横浜駅にできる陶板壁画も、いかにも井手さんらしい発想による動的で、にぎやかな色どりの構図である。作者が好んであつかう馬や、にぎやかな群像、帆船などが明るいざわめきの中にまとめられている。
 右手からは汽笛一声新橋を出発したらしい明治の汽車が煙をはいて駅に入り、その左には二頭立ての馬車に礼装の男女が乗りこんでいる。又その向うには乗合い馬車などがみえ、海近くにはパラソルをさした異国風俗も印象的な開化時代の情景である。ミナト横浜をあらわす海の風景を左に配し、汽車と船とにはさまれる近代明治の新興都市を、作者一流のやり方でこなしたのが、今回の陶板壁画といってよい。作者の特色が生きた作品であろう。

横浜市長
細郷道一
 横浜のあたらしい中心をつくる街づくりとして横浜駅東口地区総合開発が進められていますが、その計画の一部をなす横浜駅東口地下街ポルタが昨年11月にオープンしその記念の一つとして日本の文明の夜明けをモチーフとした陶板レリーフがこの度市民のまえにお目見えすることになりました。
 この壁画は、地下街という単なる商業施設のみならず、芸術性、文化性、市民性を総合した新しい都市空間を創出する効果を発揮していると申せましょう。
 (財)横浜駅東口開発公社ならびに(財)日本交通文化協会他関係各位に対し敬意を表します。ヨーロッパ、アメリカ等先進諸国では公共建築物に芸術を設置し文化育成に努めることを慣例としていますが、わが国ではまだまだ低調で、その点古くから海外に向って窓を開いてきた横浜の玄関口ともいうべき東口に、このような高尚なる陶板レリーフが設置されたことを大変嬉しく思います。この東口地区総合開発を起点として、さわやかで、ゆとりがあり、ハイセンスな横浜らしい街づくりを今後も進めていくよう最善を尽したいと思います。

作品データ

原画井手宣通 企画日本交通文化協会
場所横浜駅東口地下街入口正面 マップ 製作日本交通文化協会(製作協力:現代壁画研究所(現 クレアーレ工房))
設置時期1981年 6月10日 協賛株式会社横浜銀行、株式会社横浜そごう、京浜急行電鉄株式会社、東京急行電鉄株式会社
種類陶板レリーフ ニュース
サイズたて 2.51m × よこ 17.34m
キーワード横浜 、ハイカラさん

作品データ

原画井手宣通
場所横浜駅東口地下街入口正面 マップ
設置時期1981年6月10日
種類陶板レリーフ
サイズたて 2.51m × よこ 17.34m
キーワード横浜 、ハイカラさん
企画日本交通文化協会
製作日本交通文化協会(製作協力:現代壁画研究所(現 クレアーレ工房))
協賛株式会社横浜銀行、株式会社横浜そごう、京浜急行電鉄株式会社、東京急行電鉄株式会社
ニュース

マップ

詳細マップ

この付近のパブリックアート

陶板レリーフ
2004年 1月
横浜駅
「VIVA YOKOHAMA」
(196m)
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